2017-08

父の献体後火葬

父の献体後火葬 その7

さて、タクシーが来たので乗り込む。Sさんが骨壺を運んでくれたが「重いですねえ」というコトバが思わず出た。涼しいタクシーの中からSさんの姿を見送る。きっともう二度と会うことはないけれど、解剖から野辺送りまでずっと父に寄り添ってくれたひとだ。あ...
父の献体後火葬

父の献体後火葬 その6

帰りのタクシーは、Sさんが電話で呼んでくれた。入り口付近のベンチで待っているとき、もう気もちもゆるんでいたので、私は思い切ってSさんに尋ねてみた。 「あの~、遺族のかたで、ご遺体のお顔を見たいと言われるひとはおられますか?」 じつは、...
父の献体後火葬

父の献体後火葬 その5

ほとんどのお骨を骨壺に移し、もう最後に近いかと思われたころ、斎場スタッフさんが「これが喉仏です」と小さい骨を箸でつまみ上げた。私は、ああやっぱりと思った。母の養母の火葬のときにも「喉仏」の説明があったからだ。 今回は、私の勝手でいちお...
父の献体後火葬

父の献体後火葬 その4

やがてSさんと斎場スタッフさんが私を呼びに来たので、階下に降りる。火葬に要した時間はちょうど1時間だった。スタッフさんに例の「炉の鍵」を渡すと、おもむろに開錠されて、中からガラガラと父の遺灰が引き出された。台の上には白じらと骨だけが散乱して...
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