ピアノレッスン第61回|お花畑にもいろいろちがいがあるわけで
いつものようにクルマでレッスンに向かったが、エラく道が混んでいる。なんでだろう? ああそうか、世間は「お盆」らしいなと気づく。
去年引っ越しして、テレビのアンテナ線をまだ買っていなくてズルズルと一年が過ぎた。ネットニュースも見ない。「なにかのつながり」といえば、カウンセラー養成講座のフェイスブックだけ。それはできるだけ毎日見るようにしているが、コレはコレで独特の世界で、とくに世間一般とはどこに重心を置くかがぜんぜんちがう。
なので、そっちの世界で「心配」とか「報道」とかがたまに話題になっていると、なるほど、じゃあきっとたぶん「世間では、心配をあおるようなコトが報道されているのかもしれない」と推測する。なんとなく、そっち系では「振り回される」とか「やたら心配する」とか、ご縁がないような雰囲気だ。
いや、べつに「なんでもあり」だから、むしろそっち系住民なのに、心配しまくって振り回されまくったりするのもおもろいなあ。私そうだっぺ、毎日ピアノの練習ができるできないに翻弄されて、レッスンなんて心配を通り越して絶望しながら通っとるわ。
ふう、絶望しながらも、非常に楽しみである。セミナーとどっちがいい? ふふ、ピアノのレッスン、勝ってるなあ。どんどん楽しくなるなあ。セミナー、やべえぞ。
▼ハノン20番/へ長調で → 合格。
▼ハノン/変ホ長調アルペジオ → 合格。
アルペジオの前に弾くスケールで、左の指使い、ウロウロっとなった。2回目はなんとかだいじょうぶ。スケール弾いてるときって、いっつもアタマのなかで「ここで3が来て、つぎに4が来て、ホレ3、ホレ4、3! 4! 3! 4!」ってずーっと号令をかけとるな。
▼ツェルニー40番の2番 → 不合格。
いよいよツェルニー40番っスねえ。
山登りでいったら、これまでずっと日帰りハイキングだったのが、山小屋一泊デビューみたいな感じ。ツェルニー30番は、ちょうど日帰りハイキングぐらいだったよ。日帰りもいろいろで、往復2時間の山もあれば、往復6時間ってのもある。
これが「小屋泊まり」となると、まず荷物が重くなる。行動食も二日分必要だし、まあ着替えもいる。二日続けて数時間歩くことにもなる。たぶんツェルニー40番ってそんなんじゃない? 一泊二日程度から一週間縦走まであるんちゃう?
ついでにショパンのエチュードは、私にとったらちょうど海外登山みたいなイメージだ。あんなんやらへんで。だいたい私は高度に弱いからムリなんよ。富士山でもあぶないっちゅーに。
あ、ツェルニー40番の2番は、まだ日帰りハイキングだった。金剛山ぐらいやわ。
▼けど、ここらへんの左手がダメだった。金剛山なめたらあかん。
「回転」が逆で、しかもそれに気づいていなかった。右手は反時計回り、左手は時計回り。高気圧、低気圧はどっち回り? 忘れた。台風でもなんでも勝手に好いたように回ってくれ。
▼バッハ:フランス組曲第5番 アルマンド → 不合格。
先生「もっと活き活きと、上品であってももう少し華やかに、もう少し若々しくしてほしいですね」
「わかりました。若さが足りないんですね」と、そこだけ食いつく私。ババアにエサを与えないでください。
「若さが足りないというか、あっはっは!」遠慮なく大笑いする先生。
「すみません、トシ取ってるんです」
「いや、トシというより……、暗いとか湿ってるわけでもないんですよ。そうですね、お花畑をイメージしたりとか……」
よりによってお花畑ですかーっ?! せんせえっ! お花畑はだな、50ヵ所ぐらいはイケまっせっ! どこの山にしますっ?!
そしたら、ちがった。先生はヨーロッパのある国のお花畑について、くわしくお話してくださった。なーるーほーどーっ! 山ん中ほっつき歩くのとだいぶんちがうわっ! はい、次回はそのお花畑でがんばりますっ! た、楽しいっ!
▼バッハ:フランス組曲第5番 クーラント → 不合格。
ほとんど練習してなくて、ズタボロでございまして、指導していただくレベルにも達していなかった。
▼ハイドン:ピアノ・ソナタ Hob.XVI:37 op.30-3 ニ長調 第2楽章 → 不合格。
先生「ちょっと具合悪いですね。お話としてはいいのですが、テンポ感がないですね。この時代この曲にふさわしいテンポで、けれどもわずかににじませつつ」
もういちど弾いてみると、こんどは「調味料が足りませんね。さっきは濃厚なソースでしたが、こんどはなさすぎです。ちがう種類の調味料で」と味付けのお話をうかがう。
▼ハイドン:ピアノ・ソナタ Hob.XVI:37 op.30-3 ニ長調 第3楽章 → 不合格。
でもまあ、そんなに大々的に直さなくていいみたいで、「軽めに、そして楽しく」とのこと。
本人は楽しく弾いていても、「聴き手を楽しくする」のはまた別なんだなあってつくづく思った。なにせ「演奏する」ということは「聴き手がいる」ということが大前提だ。そして、聴き手の心に「なにかしら感興を起こす」のが目的なわけ。
もっちゃもっちゃ弾くのがせいいっぱいって状態を早くなんとかしないと。はい、また一週間練習あるのみ。