もの忘れ外来|IQ(知能指数)があきらかにされ、見合った職業を勧められた

就活はぜんぶ不採用やし、でもゼニが欲しいから「座ってるだけ」のパートも行かなあかんし、ワシャ忙しいんじゃっ! そのぶんのシワ寄せでピアノがぁ、じぇんじぇん練習できへんねん。だのに、本日午前中は「もの忘れ外来」の診察だった。10月17日に受けたテスト(「もの忘れ外来」で2時間半もテストを受ける)の結果がわかる。

だいたいなぜ「もの忘れ外来」を受診しはじめたかというと、いま行ってるパート先で、ワシがあまりにも仕事ができへんからクビ宣告されて、その話し合いの場で「病院行ったほうがいいですよ」とまで言われたからだ。

初診のとき、簡易的な認知機能のテストがあったがそれはほぼ満点。「頭部MRIでは年齢相当より脳全体にやや萎縮があるも、認知症ではない」と診断された。
わぁぃ!免許証返納せんでよかった、うへへと思っとったら、その日の夕方に自損事故起こしてドアミラーがぶっちぎれてん。

さて、病院やけど今日も遅刻した。20分も遅れた。それに診察券も予約券もみんなウチに忘れた。ええねん、もの忘れ外来にふさわしい病院の行きかたにしとくねん。ワシはそれどころやないねん。

まずは臨床心理士さんから「心理検査結果」の説明やった。
ああ、このヒトの名まえはさっぱり覚えてへん。まだ記憶術をマスターできていないころに会ったからまったく忘れ去っている。



その臨床心理士Iさんがしょっぱなに「おどろきましたよ」と言う。
へ? なにが?

なんでも結果がよかったらしい。はあ、そう。脳ミソちぢんどるのに。
Iさんは用紙2枚にまとめた説明書きをワシに渡してくれた。1枚めには「認知機能的特徴」と「心理検査の考察」がくわしく書かれていた。2枚めは認知機能別のグラフだった。

「考察」には、「数々のすばらしい能力をお持ちですが、何より長所だと言える春子さんの力は、その知的好奇心の高さです。」という一文があった。

はあ? 知的好奇心? んなモン、ワシにあるんかいな?
んー、でも、そうか、ワシが大好きな「名人芸見て、そのヒトのハナシ聞いて、ほとほと感心する」ってヤツは、知的好奇心の一種かもしれん。まあ「知的」というより、もっと単純に「プロの技を見て、かつハナシを聞いて、すげえ!」って感動したいだけなんやけど。

で、おすすめの仕事として「研究職、情報技術職、専門職、ライター」があげられていた。「興味のある学問に手を出してみたり、趣味を極めてみたりすることで、自分の得意分野や好きなことに出会えるかもしれません」とも書かれていた。

ふう、いまさらそんなこと言われてもねえ。もう57のババアになにをどうせえっちゅーねん?

ワシ「いまからはじめるんですか?」
Iさん「はい、そうです」



ふうんとキナ臭い顔つきになったまま、つぎは精神科医の先生の診察だった。

先生「いやあ、スゴいですね」
だから、なにが?
先生「ホントはあまり言えないんですが、IQね、知能指数xxxでした」

ふうん、やっぱし知能検査やったんや。
うん、ワシ知能検査って小学4年生のときに学校で受けたことあるねん。で、その結果も覚えてる。いま先生が言った数字より「マイナス10」だった。つまり、ワシはそんときより「10」お利口になったんかね?

てか、先生が言うた「知能指数xxx」は、まさに妹の知能指数といっしょやってんっ!
おいおい、T子ちゃん、あんたといっしょになったわ。やっぱり姉妹やな。まちがいなくあの父ちゃんと母ちゃんの子やな。

先生「ボクよりずっと高いです」
は?
先生「ハローワークとかの求人はやめといたほうがいいです。なにか資格を取って専門職についたほうがいいです」

う~ん、なんかワケわからんようになってきた。
検査の採点ミスちゃうん? まあでも小学4年のときプラス10なんだし、妹と同じ数なんだし、その結果は正しいんかね。

先生「発達障害もテストからは見られませんでした。お話を聞いていると興味のかたよりがあるので、やや発達障害の傾向もありますが、でも仕事には支障ありません」
いや、支障大アリなんやけど。だからクビなんやけど。

先生「それは相性が悪いだけです。たとえば春子さんはコンビニの仕事とかは向いていないはずです。そういう接客とかではなく、もっと思考力や集中力が求められる仕事のほうがいいでしょう。ひとつのことを深く掘り下げて考える職業が向いています。研究職はいいと思います」

はあ……、でもいまさらなんもはじめる気ィおまへん。しんど。ピアノだけでヒイヒイ言うとんのに、このうえさらになにを勉強せえちゅーねん?

結局、もう今日で診察は最後になった。



ウチに帰ってからネットで「知能指数xxx以上」を調べたら「全人口における割合は0.38%。アメリカの心理学者・ターナーの定義ではIQxxx以上を天才または準天才」とわかった。ああだから、あないなリアクションやってんね。

たしかに妹はその水準にふさわしい大学を出ているし専門職についている。うん、妹は先生のアドバイスどおりの人生だ。
でも、ワシはタダの高卒のババアっス。中学高校も底辺校なのにソコで欠点ばっかし取ってた。なぁんにも取り柄ない下流老人っス。

ところが、あんまり「研究、研究」って言われたからふと思い出した。
そういえば、父ちゃんは「研究者になりたかった」って言うとった。「学者になりたかったんじゃ」って数回聞いたことある。

父ちゃんが「学者にあこがれた理由」は、ワシ、心理学勉強しているうちに徐々にわかってきた。

父ちゃんの母ちゃん、つまりワシのばあちゃんは「父無し子」やってん。私生児やねん。
でも、だれが父親かは知ってたらしい。

その「父親」ってのが、どうやらなにかの「先生」だったのだ。
たぶんその「先生」は結婚してたんだろね。でも、未婚のねーちゃんに手ェつけて孕ました。それで出来た子がばあちゃんやってん。

でもなあ、ばあちゃんは「先生」って立場のヒトたちをけっしてキラいにならなかったんだよね。イヤになったり恨んだりもしなかった。
そうではなく「あこがれ」として見てたんだね。きっとそうなんだ。

だからこそ、そのばあちゃんの想いを受け継いで、父ちゃんが学者にあこがれたんだ。
そして、その「ばあちゃんが自分の父ちゃんを慕う気もち」は、ワシにも脈々と受け継がれているよ。

なぜなら、ワシもあっちこっちの先生が大好きだから。
でも、その由来はばあちゃんの純粋でいちずな想いなんだ。ばあちゃんは、自分の父ちゃんをいっさい恨まず、ただ愛していたんだ。そうにちがいない。

今日、精神科の先生と臨床心理士さんに、ふたりして「研究やってください」って言われて、ワシはまた父ちゃんとばあちゃんを思い出して泣いたよ。
そうか、父ちゃんもばあちゃんもワシに研究してほしいんか?

そうか、だったらワシ、ピアノの研究することにしよ。それでええやろ?

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