私にとっては、念願のポータブルトイレがやって来た。
コレでバンザイ! トイレ介助の時間もきっと短くなる!
などと密かによろこんでいたが、いやあ、それはあっさり裏切られた。
今朝のトイレ介助の時間を計ったら、36分かかっていたのだ。
あれれ? 自宅トイレのときも30~40分だったので、おんなじぐらいじゃん?
ただ、自宅トイレの場合は、最長51分だった。
あのさ、単にトイレで小を済ますだけで、小一時間かかったのよ。
ふつうトイレって、まあ数分で終わるモンだ。
超絶グズの私でさえ、急げば3分でおしまい。
それがねえ、タダのトイレに小一時間かかるのが「要介護4の世界」である。
うむ、こういう展開になるとは、まったく予想していなかった。
さて、ポータブルトイレでも、こんなに時間がかかるのはなぜか?
それは、すべての動作が非常にむずかしくなってきたからだ。
たかがポータブルトイレに座るまでにも、身体のいろんな筋肉を使って、体勢を変えないといけない。
しかし、もう寝たきりで衰える一方の母にとって、身体の向きを変えるだけでも、非常にむずかしい。
そりゃまあ、介助者が若くて健康ならば、力づくで持ち上げてしまえば、あっという間にデキるだろう。
たとえば、寝ている高齢者の全身を、パッと持ち上げて、そのまま便座へ座らせちゃったら、なんの問題もない。
ところがねえ、私も腰痛だのヒザ痛だの手の痛みだの、全身あちこち故障だらけ。
自分の身体をこれ以上悪化させないために、母の移動を少しずつしかデキない。
たとえば、下の衣類の脱ぎ履きも、1枚ずつやらんとな。
パジャマズボン → ももひき → 紙パンツという順番で、ベッドに寝ている状態で、1枚ずつ脱がせていく。
脱がすためには、母に少しでも腰を浮かせてもらうのだが、この「腰を浮かす動作」が困難になってきた。
まさかねえ、腰を浮かせないと、なんにも脱がせられないなんて、ここまで想像していなかったよ。
そういえば、亡父は脳梗塞で半身不随、いまの母とおなじく要介護4だった。
でも、当時82歳で、しかも発症まえは丈夫な身体だったから、おむつ交換でも悠々と腰を上げてもらえた。
ええと、いまの母はどんどん衰えているので、腰を1センチ上げるのがようやっと。
たぶん、もうまもなく腰を上げられなくなるだろう。
いや困った。
いま現在は、母に、左横向き → 中央 → 右横向きと、ベッド柵に頼ってころがってもらって、なんとか脱ぎ履きしている。
つまり、下の衣類3枚に対して、合計9回ころがったり、腰をどうの、ヒザをどうの、足先が衣類に通る通らないなどと、苦労しているのだ。
そういう要領なので、1回のトイレに30分以上かかる。
う~ん、これからどうなるのだろうか?