もし10億円ぐらいゴロンと手に入ったとしたら、とりあえずパートを辞められるからそれはすっごくうれしい。
んで、どうする?
引っ越しはいらんな。いま住んでるとこは某芸術大学に近い、その隣のスーパーも近いから、いやべつにここでええわ。あ、大家さんに許可取ってフルリフォームはやろう。また壁紙見に行ってぜんぶ自分好みの部屋に改造しよう。
あ、そうだ! もう一部屋借りてオーディオそろえよう。よっしゃ、1憶はかけるで。
一戸建てはなあ、もうそこまで考える時間がもったいないわ。あと、ここらへん地方だから人付き合い超たいへんそう。なので、いまの学生用マンションが居心地よろしい。卒業するまでここ。
クルマは買い替えるぞ。でも、運転ヘタクソだから軽しか乗れない。幅148cmがちょうどええねん。グランドピアノの幅が149cmでさあ、あたいはそれより幅があるもんは操作できないんだよ。
ええと、そんだけゼニが降って湧いてきたら、もちろん学費がどーのこーのなんて問題はすべて解消する。
でもなあ、だからといってすぐ受験できるわけじゃない。ピアノがヘタクソすぎてあと何年かかるかわからん。
結局いくらお金があったとしても、ピアノの練習はちまちま地味~にやるしかしょうがない。でも、そのちまちまがおもしろいんだよね。やってみてわかったけど、こんなふうにちょぼちょぼ進む、いや進まへんけど、弾いた弾けないを毎日もっちゃもっちゃやってること自体がおもしろい。
んで、週に一回レッスンに通う。これも何億あっても変わりはない。グランドピアノもいまのヤツでじゅうぶん。楽譜やCDはもっと気軽に買えるだろう。コンサートも行ける。でも、その程度かな。パートの時間がまるまる浮いたとしても、手の事情があるからぜんぶ練習に充てることもできない。
つまりシミュレーションしてみたけど、いまの生活とほとんど変わらへんねん。
あらためてわかったが、「充実した時間」って案外お金では買えないもんだねえ。「体験」もね。それから「感性」とかもね。
逆に裏返せば、「満ち足りた思い」を味わうためにはそんなにお金はかからないみたいだなあ。
いまのままでほんと良くて、ということは「いまとても恵まれている」んだよね。いろんな意味で。そこそこ健康で、音楽と心理学でいいひとたちと付き合えて、ひとりでもみんなとでも楽しく過ごせていられて。
よかったな。