包丁を突き立てたい。愛憎は表裏一体。|堀江さなえさん「ビリーフリセット&エンパワメント・セッション」その2

私は、だれかが自分に好意を示してくれると「いまさらそんなもんいらねーっ!」をやっちまうのだが、まあ、ほんとそれはぜんぶ母ちゃんにやってたことだった。

ウチの母ちゃんは生い立ちが複雑で、実母→母が6才のときに家出、継母1号→母を虐待のち病死、継母2号→母に無関心のち自殺というまれに見るあっぱれな育ちなので、母ちゃんは恨みつらみの塊になってしまい、私をめちゃくそ叱りつけてよく暴力をふるっていた。

どんなにタイヘンだったか、堀江さなえさんにひさしぶりに話した。いやほんと、久々だった。だって、母ちゃん問題って心理じゃ定番だから、数年前の根本裕幸さんのときからさんざんやっていて、なんかまたアレをやってもねえって気分にいつの間にかなっていた。

ビリーフリセット・リーダーズ講座」でもみんながそういう傷をかかえているし、そうすると、また自分の母ちゃんの話を事細かく話すのに抵抗があった。みんななにかしらおなじような目に遭っているから、私は母ちゃんについては「よくあるあれやこれやで、まあわざわざ並べ立てるようなもんでもないです」とか言っていた。


しかし、さえさん(堀江さなえさん)のZoomセッションでは、またなんか聴いてもらいたくなって、そしたら、子どものころ私は母ちゃんに怒られてほんとよく泣いていたなあって思い出した。小学生、中学生、高校生とずっと泣いてたわ。

さえさんは、私のそんな話を真剣に聴いてくれた。Zoomってカウンセラーさんのお顔が真正面に見えるじゃない? そうすると、さえさんが眉根を寄せてじっと聴き入ってくれている表情がすごくよく見える。そんな面持ちで聴いてもらうのははじめてで、するといろんな思いが込み上げてきた。

さえさんが「お母さんに本当はどうしてもらいたかったの?」と言われる。

私は堰を切ったように泣き出した。子どものときに泣いていた気分とまったく同じだった。


母ちゃんにどうしてもらいたかったか?

それはね、ほんとは笑ってもらいたかった。そう、笑顔になって欲しかった。だって、ほんとは母ちゃんのことが大好きだから。大好きなひとに笑っていてもらいたかった。

そんなことを切れ切れに話しながら、まあもう思い切り泣いたわ。意外とね、ここまで泣いたことはなかった。カウンセリングセッションでははじめてだった。

あ、じつは数年前のセミナーで号泣したことはある。根本さんの「仕事についてのセミナー」のとちゅうでアホみたいに泣いてた。泣けて泣けてしょうがなくてしまいにはしゃくりあげるほど泣いてて、しかしねえ、仕事セミナーでそこまで泣くヤツはひとりもおらんからね。恥ずかしー。


隣のおねーさんが「ほんとに泣いてますね」ってびっくりしてたよ。いやあ、仕事がウマくいかなくて泣いてたけど、それも掘り返すと「親に認められるような仕事ができない」ってことでぐしゃぐしゃになってたわけね。

さえさんのセッションでも、またぜーんぶ親じゃーん! またふりだしに戻んのかよーっ?!って自分でもあきれたけど、さんざん泣いたらずいぶん気もちがラクになった。憑き物が落ちたようにさっぱりした。さっぱりしつつも、まだ親じゃーん、いつまでやってんだよ、ずっと子どもで情けないねえ。

で、そもそも「私ってカウンセラーのかたから見ると、どんなふうに見えるのか?」っていつか訊いてみたかったのだが、さえさんは私が尋ねなくてもこう話してくれた。

「春子ちゃんからはね、『嘆き』『憤り』『理不尽さ』を感じるんだよね」


ふうん、な る ほ ど ね え。たしかに、ずっとそういうモノをかかえて生きてきたよねえ。だから、ひとに好意を示してもらうと、「んだよっ!てめえ、いまさらそんなもんいらねーんだよっ!くそったれ!」ちゅどーん!をやっちまうんだよね。一触即発なんだよ。

でも、そっかそっか、その「嘆き」「憤り」「理不尽さ」の大元を粉砕しないことには、これからもまた「ちゅどーん!」をやりつづけるんだよね。けど、それはめちゃくそ困るんだよ! これからパートナー欲しいのに「寄らば斬るぞっ!」ばっかしやっててどーする?!

私はさえさんに詰め寄った。「これ、早急になんとかしたいんです。この期に及んでこれじゃ困るんです」

さえさん「それには『怒り』を出すことですね。それも身体を使うやり方でね。殴るのはいいですよ。クッションとかを思い切り殴る。または刺すというのもいいでしょう。ちゃんと身体を動かさないと感情は出ません。ちっちゃい子が地団駄ふむでしょ? あれをやらないといけないんですよ」


ああ、殴るかー。そういえば根本さんも「クッション殴れ」って言ってたなあ。だいぶん前にセミナーで言われて、でもやったことない。セミナーで方法を教えてもらっても実行せずに放っているものばかり。

しかし、今回はやらないとね。「殴る」は手を痛めそう。じゃあ「刺す」にしようかな? ああ!「刺す」がいいなっ! 包丁を突き立てたい! グサッと刺す、これでもかこれでもかとメッタ切りする、あたりは血の海になる。それはやりたい。

そういえば「怨恨による殺人」は何十回も刺した傷が見られるらしい。と同時に、ふいに「解剖中の遺体」の姿が脳裏によみがえった。私、なんであんなパートしてたんだっけ。

そんな陰惨なパートがハロワの求人に出てたんだよ。ハロワのスタッフさんも「こんなのあるの、はじめて見ました」と言っていた。


ものすごく惹かれたからすぐに応募した。採用になった。たくさんの遺体を見た。遺体を見るのが好きだった。

なんで好きだったんだろう?

それはもしかすると、それほどまでに恨んでいたからかもしれない。

だれを?

それは、私を殴ったひとに対して。

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