パートでミスして怒られたときの「反応を変える作戦」

すごいことに気がついた。

どうやら、朝、目が覚めたときに「無罪」はやってくるらしい。

今朝もどういうわけか「無罪さん」が、いた。

お、おはよう……

えっと、いいんすか? 無罪で? あのう、牢屋から出てもええんですかね?

「無罪」だと、まず身体がとても軽くなる。どこにも力が入っていない。ええ感じに肩がすとんと落ちている。


おおそうだ、この身体でピアノを弾いてみよう。さっそく電子ピアノのスイッチを入れて、まだおぼつかないガヴォットを弾いてみる。

▼バッハ:フランス組曲第6番ガヴォット

あんれまあ、ふいっふいっとはずむように踊ってるみたい。舞曲舞曲、タン タン|タン タン タタタン|タン タン……、ガヴォットって一拍分が前に出てるから、さいしょのふたつをかる~く鳴らす。

楽しいなあ。

5回弾いた。今日はモーニングページはやらない。モーニングバッハが代わり。


外は雨。でも、用水路の水は濁りもなくとてもきれい。あれ? パート行くの、ほんのちょっとマシかな? イヤはイヤだけどごくわずかにちがう。そうだ、「あきらめ」が出てきたんだ。前みたいに全力で抵抗するんじゃなくて、ちょびっとだけ「しゃーないか」って思えている。

仕事は、いつも通りミスの連発だった。まちがえてあやまって、忘れてあやまって、お客さんにおわびの電話したらしたで、あやまりかたがちがうと怒られて、またあやまって、まあ毎日これの繰り返し。「すみません」「申し訳ありません」を何十回も唱えるだけ。

しかし今日は少しちがうところがあった。

あのー、ちょっと明るかったのだ。ぱああっ。

怒られてもなじられても、なんか場違いなほど明るく「すみませーん」って高めのトーンでほがらかにあやまっていた。


以前市民合唱団でバッハを歌っていたことがある。そのときの合唱の先生がすっごく熱烈かつユーモアのあるご指導をされていた。

そのバッハの大曲は短調で、しかもその冒頭のヤツはたいへん荘重で深刻な短調だった。けれどもときおり転調して長調になる箇所もある。その長調に転じたとき、先生がこう言われた。

「みなさん、ちっともホ長調の顔じゃないですよ! せっかくぱあって光が差し込んできてホ長調なんですからホ長調の顔で歌わないと!」

みんなはどっと笑った。ぱあってホ長調の顔かあ。

いまピアノの課題でやっているバッハ:フランス組曲第6番はホ長調なんだよね。組曲だから8つの曲から構成されているけど、ぜんぶホ長調。ぱあってホ長調。暖かい橙色みたいなホ長調。

私は、もう「無罪」なんだから「ホ長調の顔」をしてたらいいんだなあ。


お店で「すみませーん。これから気をつけまーす」って笑顔で歌うようになんべんも言っていたときは、ホ長調なんてすっかり忘れていた。

でも、アレだよね、叱られたとき暗~い声でぼそぼそあやまるって、もしかしたらイヤがらせかもしんない。とくに私は。
スネまくりの私は、相手への復讐としてわざと陰湿に恨みを込めて「すみません」って言ってた。

それ、やめよう。
やめた。

どのみちこれからもまちがうんだから、明るく楽しくホ長調であやまろう。ぱああっ。

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