今年3月から「寝たきり」に突入して以来、あっという間に「デキないこと」が増えてきた母。
入院中は毎日リハビリをしていたので、ひとりでシルバーカーを押してトイレへ行けるまで、レベルアップしていたんだけどね。
退院後は、訪問リハビリを4回しただけで、もうやめてしまった。
私はリハビリ賛成派なので、ずいぶんネチッこく母に勧めたんだけど、母ちゃん、リハビリはやりたがらない。
「リハビリ会議」も、これまた執念深く何度も開催したけれど、合意を得られず。
ただ、母の気もちをゴリゴリ深掘りするうちに、どうして母がリハビリを嫌いなのか、いろいろわかってきた。
まず第一に、「リハビリをまったく信用していない」と判明。
3ヵ月の入院中、ほぼ毎日リハビリをしていたが、「リハビリをしていたから → 歩けるようになった」とは、微塵も思っていないのだ。
つまり、母の考えは「リハビリとはぜんぜん関係なく、自分の力で、しぜんに歩けるように回復した」というもの。
そう言われれば、うん、まあ、たしかに私だって「リハビリ効果で → 歩けるようになった」とは、なんの確証もないんだよ。
100パーセント、リハビリのおかげだとは、シロウトの私には判断できないさ。
さて、以前に訪問リハビリに来られていた理学療法士さんは、
「もういちど、歩くことができるように、順番にプログラムを組んでいきましょう」と言われていた。
まずは、寝たままでできる体操、そして座ってできる体操、立つ姿勢を保つための体操、それからやっと歩くための体操。
こういう感じで、数ヵ月~1年ほどかけて、徐々に筋力をつける予定だった。
ところが、母にしたら、そもそもリハビリを信用していない。
しかも、自分はすぐにでも歩きたいのに、「歩く練習」はしてもらえない。
もちろん、理学療法士さんは、どうしてこういう段階を踏むのか、母にじゅうぶん説明してくださったが、やっぱり母には受け入れられなかった。
そして、訪問リハビリのイヤな理由のもうひとつが、「他人がウチにやってくること」。
なにせヘルパーさんだろーが、福祉用具さんだろーが、訪問入浴だろーが、ほんとはケアマネさんだって、だれにも来て欲しくないのだ。
そういうことだったらさ。
私も、母にリハビリをムリ強いするの、やめたよ。
90歳でさ、要介護4でさ、胃ろうでさ、もうそういう身の上なんだから、母が好きなように自由に余生を楽しめたら、それでいいよな。
今朝、車椅子に座ってもらったとき、右上半身がグニャッと折れて、
「痛い、痛い! なんとかして!」と叫んでいて、あわてて私がうしろから上半身を引き起こした。
べつにケガはなかったけど。
そっかー、もう座っていることも、デキなくなりつつあるんだなあ。
倒れそうな上半身を、自力で起こすことすら、もうダメなんだ。
それは、ある意味「しぜんの摂理」で、べつに悪いことじゃない、と私は思うよ。