母が突然見舞われた「冷や汗とふるえ」の正体は?

日々のあれこれ

今朝、母から、呼び出しベルの音が鳴ったのは、午前5時34分だった。

母は、目覚まし時計をかけない。

長年の習慣で、しぜんに午前5時に目が覚めるらしい。

しかし、私と同居してからは、5時ちょうどに起きることはあまりなかった。

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5時15分ぐらいから6時すぎまでが、多いかのう。

母にとって、5時をすぎてしまうことは「寝坊」であり、それは「失敗」であり、そうなると、起きてしばらく顔をしかめて落ち込んでいる。

私は、目覚ましを5時にセットして、母の起床にそなえて、朝のしたくをしながら待機している。

さて、おとついから、シルバーカー歩行ができなくなり、ズボンや下着の上げ下ろしも不可能になった。

なので、母が朝起きてから、呼び出しベルを鳴らすのは、トイレの合図だ。

私が母の部屋へ入ると、母はやつれた表情で介護ベッドに座っていた。

「汗がものすごく出て……、手がふるえて、すごくオカしい」と訴える。

母がまず気にしているのは、枕が湿ってしまうことだった。




「すぐに、外で干してよ」と頼まれたが、あいにく小雨が降っている。

母の体調が気になったが、母の希望で、枕カバーをはずして、枕を南側の部屋へ持って行くのを優先する。

ついで、トイレへ行きたいと言うので、キャスター付きイスでゆっくり連れて行く。

母には、トイレ内の手すりにつかまってもらい、私は下の衣類を降ろす。

その手すりを持つ手が、たしかに小刻みにふるえている。

コレ、もしかして低血糖かね?

昨日もおとついも、ほとんど食べていないしね。

ようやっと、母に便座に座ってもらい、

「きっと低血糖だと思うから、砂糖水、飲む?」と尋ねると、

「そんなのは、飲めない」とやっぱり断られた。

「じゃあ、チョコレートなら食べられるかな?」

「……」

「ちょっとがんばって食べてみてね」




私は、いつも母が食べているチョコレートをふたつ持ってきて、まだ便座にいる母に食べてもらう。

私自身が、若いころから低血糖症であり、2~3時間にいちどは、糖分補給をしている。

まれに補給しそこなうと、低血糖症状が出て、冷や汗やふるえが起こる。

というのを、過去なんども経験しているし、いったん症状が出ると、補給してから30分ほどは収まらない。

そんなに急に良くならないモンだから、母もトイレからゆっくり移動させて、ベッドに横になってもらう。

枕のことを気にしているので、私の枕を持ってきて、新しいカバーを付け、母に寝てもらう。

そのまま2時間ほど、ふとんをかぶって休んでもらった。

そのあとで、慎重に起きて、着替えて、やっと朝食を取れた。

汗やふるえは止まったが、母の身体のしんどさは、ゼロにはならなかった。

午後になって、呼び出しベルが鳴ったので、母のところへ行くと、こう言われた。




「低血糖のときは、ブドウ糖がいいんだって。

買っておこうか?」

あれあれ、もうスマホで調べたのか。

私「うん、それはそうだけど、ブドウ糖ね、買っても余らせちゃうのよ。

私も、前から個包装やタブレットのヤツ、何回も買っては、賞味期限切れでね。

べつにペットシュガーを飲んでも、じゅうぶん効くよ」

「そうなの?」

「お砂糖をお湯に溶かして、それ飲んだらいいよ」

つぎつぎと起こる身体の異変に、とまどって不安におちいる母。

先日、内科クリニックでもらった検査結果とかは、まだ私が手元に持っている。

母に渡したら、きっとまたスマホで調べるだろうし。

母から「どうしても見たい」と頼まれるまでは、もう知らんふりしておくつもり。

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