主治医先生「あるいは、肺炎とかで、いろんなリスクが高い急性期に胃管を入れて、
そのあいだ経管栄養入れて、あのう、管から栄養入れるってヒト、いるんですよ」
「はい」
先生「ただ、はっきり言うと、徐々に食欲がなくなってきて、それに対する改善の見込みがないヒトに対して、
ま、これはちょっと電話でもお話した、そういうヒトに対して、胃ろうだったり、鼻から管入れてカロリー摂取しますってのは……オカしいんですよ」
私「オカしい?
はああ……」
「オカしいというか……」
私「あの、そのオカしい、あのちょっと、ごめんなさい、オカしいというのは、あの……」
先生「ま、結局ね、食事をね、食べたくないって、おっしゃってるわけですよね」
「はい」
「うん、食事を食べたくないというヒトに、それを、えー、食事を……、ま、だからこそ持ち込み食を提案しているわけですよ」
私「ああ、ああ、はい。
ま、でも、持ち込み食もたぶん、ま、申し訳ないですけど、食べたくないんだと思うんですよね」
「うん」
「う~ん、だから、まあ、たしかに先生のおっしゃるとおり、そのう、矛盾しているんです。
『食べないで生きたい』というのが、望みなんでね」
「そうならないようにね、ま、いろいろ入院されてからも、ま、栄養の方とか栄養の先生とかね、ここいるので、栄養担当の者としゃべったりして、
より喉ごしのいいもんに替えましょうとか、お試しでゼリー入れてみよかとか、ま、いろんなこと、じつはやってきてます」
「はい」
「で、あのう、で、やってきてるなかで、えっと、なんというかな、不十分なんですけど、十分の一とか、十分の二とかなんですよ、食事の」
「なるほど、摂れてる量がそうなんですね」
「でね、ま、あのう、それにね、たとえば、そのう、感染症が原因だったりとか、バイ菌が入ってきてるとか、
そういうのが原因で、あのう、食事が一時的に摂れないっていうパターンだったら、鼻から管入れて、栄養摂りましょかって流れもありますけれども」
「はい」
先生「そうじゃないとすると」
「はい」
「あのう……、なかなかこのまま胃ろうの、胃に穴開けて、ええ、胃ろうを造って、栄養入れるっていうのは、ちょっと進みにくいです」
「はあ……」
「うん」
私「あのう、ひとつお尋ねしたいのですが、よろしいですか?」
「はい」
「そもそもね、こう、食欲が出ないという要因は、どのようなものが考えられますか?」
「えっとねー、あのう……、どれから言うか、いちばん多いのは、年齢です」
「年齢?」
「年齢、いわゆる『老衰』というものの一環です」
「じゃあ、老衰の症状のひとつということですね?」
「はい、そうです。
ただね、年齢的な要素でいうと、年齢よりもお話は通じるし、お話もできはるし、……なんというか、いま意思疎通とれるわけですよね」
私「はい、そうですね」
先生「で、そんなかで食べる量が徐々に減ってきてる、というところに関して言うならば」
「はい」
「えー、なので、第一に考えたのは肺炎とかね、そういう、さっき申し上げたこういう軽いちっちゃな肺炎とかが、影響している可能性も、当初考えていましたけれども、
ま、あのう……それの治療うんぬんに関わらず、まだ食べられてない状態、で、ご自宅でもそうやったとおっしゃってるので」
「はい、そうですね」
「ま、おそらく二つのフェーズで、肺炎は肺炎であるけれども、それと関係なく食欲がもうなくなっているということは、あるんだと思います」
「それは、老衰のひとつの症状として、あのう、食欲がなくなっていくという症状が出てると、あの、先生のご判断でいらっしゃるんですね?」
「そうです、そうです。
というか、一般的にですね、私もあなたもみなさんも」
「はい」
「年齢を重ねていくと、食は細くなっていきます」
「それはそうだと思います」