失ったモノを惜しむのか? それとも与えられているモノを拝受するのか?

もの忘れがヒドくなったのは、いまから10年ほど前からだ。ちょうどそのころから本も読めなくなった。むかしは本を読むが好きだったのにね。とくに小学生のとき、童話を読むのが楽しかったな。学校の図書室は毎日行ったね。放課後はいつも図書室に入り浸った。

だから、長いあいだ読書は習慣になっていたはずなんだが、10年前からはもう本を読めなくなってしまった。活字を読むこと自体がおっくうで一冊の本を読み切ることができない。めんどくささはだんだんひどくなり、このごろでは本を手にすることも苦痛だ。

それだのに、カウンセラー養成講座(ビリーフリセット・リーダーズ講座5期)では、課題図書が何冊も指定される。とりあえず毎月一冊は読んで感想を提出しないといけない。先月ヒーヒー言いながらその一冊を読んでみたが、何が困るって読むハシから内容をすべて忘れていくというのが困るんだよな。

一所懸命読んだつもりになっているけど、最後までたどり着いて、さて感想を書こうと思っても、内容をほとんど覚えていないから書きようがない。



なんかよく似ているヤツがあるねえ。ええと、はじめて聞く長大な交響曲とかをいちおうシンボウして聞いたとしても、聞き終わったあと、どんな音楽を聞いたんだかさっぱり覚えていないっていうのとよく似ている。

たぶんね、どっちもね、要するに何ひとつ記憶に残っていないからオノレのリアクションがこうなるんだと思うよ。あらためて思ったけど、一冊の本を読むという行為はかなり記憶力が必要だ。いまのワシみたいにササーッと内容を忘れていったら、読んでいないのとほとんど変わりない。

さて、カウンセラー養成講座の内容も、バッサリ忘れていっている。ちょっと印象が残っているものもあるが大半は失われている。自分が興味のある心理学だから、もう少し歩留まりがいいんじゃないかと期待していたのにダメだった。

パートの仕事ほどヒドくはないけれども、しかし心理学の講義もすっぽり「なかったこと」になっている。悲しいね。せっかく好きで受講をはじめたというのにね。



対して、ピアノのレッスン内容はどうだろうか?
たとえば、先週から▼モーツァルトソナタハ長調K.545を練習しているが、
この曲の出だしは、以前に習った▼あのソナチネと同じように弾けばいいなと考えていた。
そのソナチネがだれの作曲なのかはさっぱり覚えていない。でもト長調ということはすぐに思い出せる。だって「ソーシソシ|レーレーレー|レーシラソ|ソーファ♯」というメロディーはすぐに出てくるから。たぶん8割ほどはいまも暗譜で弾ける。

その曲をレッスンしてもらったとき、指導していただいた内容はそのニュアンスとともにとてもよく覚えている。先生の表情も思い出せる。



じゃあ、それはいつだったのか?と調べたら、そのクーラウのソナチネを習ったのは去年10月のことだった。ああそうなんだ、音楽のことは半年まえのことでも覚えているんだな。いま譜面を見返していたら、ココの箇所はああ言われたなあ、あそこはこう弾くように指示されたなあって、そうやっぱり覚えている。あまり練習していない曲なのにね。

そうか、音楽のことだけはまだかろうじて記憶が残るんだな。だからピアノの先生は、ワシをレッスンしていて「トシ取ってる感じはぜんぜんしません」と言われたんだな。

では、この事実をどうとらえようか?

「仕事がまったくできない、カウンセリングの勉強もダメ、ピアノしかできない」と考えるのか?
それとも「ピアノはできる。それなら仕事もカウンセリングもほかのすべてがダメでもいいじゃないか」と考えるか?



どちらをチョイスしてもかまわない。それはワシの自由なのだ。じゃあどっちを選ぼうかな?

それは当たり前なんだけど、ピアノさえできればいいよね。どれかひとつというならば、ほんとピアノが弾けたらそれだけでじゅうぶんしあわせじゃないか。

カウンセリングはまだあきらめない。できる限り努力はする。しかしカウンセリングの技術も記憶力が必要だ。いま自主トレーニングで、自分がカウンセラー役をやっているとき、相手のヒトの話がやはりあいまいになっていく。どんどん忘れていく。こりゃあ外部記憶装置が必要だなあと考えている。

結局いまの時点でなんとか記憶が留まるのは、ピアノのことだけだ。けれども、そのひとつだけを自分の宝物として大切にしていたらそれでいい。

あれもこれも欲ばらない。もうすでに「ひとつある」んだから。「ない」わけじゃないんだから。「あるという恩恵」、それだけでじゅうぶんだ。

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