こんなハズじゃなかった五十代

自分が三十代のころ、まわりの五十代のひとはみんなとても元気でした。みなさん「もうトシだからね、しんどいしんどい」と言いつつも、ふつうに元気です。気遣いが必要なほど体力がおとろえているひとは全然いませんでした。

それは、自分の両親を見ても同じで、当時六十代になっているのにふたりともピンシャンしていました。母は少し足元が弱っていましたが、それでも地下鉄一駅分とか平気で歩いていました。

そういったひとたちを見ていたので、当時の私は「トシを取ったと思うのは、きっと70才を過ぎてからかな?」などと考えていました。世間一般の基準でも五十代はまだまだ気力体力とも十分な年代でしょう。

ところが、です。
いざ自分が五十代を迎えると、とんでもなくあちこちにガタが来てしまったのです。いちばん最初にダメになったのは手指の関節でした。キーボードやマウスをぼちぼち使う程度なのにすぐ痛くなるのです。免疫系の病気が心配だったので、何度か病院できちんと検査してもらいましたが、とくに異常はありません。「様子を見ましょう」と言われて数年たちますが、ちょっと使いすぎると痛くなるのでダマしダマしゆっくりしかできません。

つぎに故障したのは、ひざ関節でした。これでも昔は山登りをしていたのですが、山どころか駅の階段も上り下りがタイヘンでいまではエレベーターのお世話になっています。これもつい先日病院で診察してもらいましたが、病気ではなくて「もっと筋肉をつけましょう」とのこと。

カラダの不調もコタえますが、ココロの面もかんばしくありません。全般にやる気が出ないのです。まあちょびっとくらいやる気らしきものはあるんですが、それが長く続かないんですよね。四十代と比べると半分くらいのパフォーマンスしか出ません。ナニカをやろうと思ってもメンドくさいなあとおっくうです。

心身ともにダダ~ッと低下してしまいました。ああ、こんなハズじゃなかったとガックリしていますが、その「ガックリ感じる度合い」もおとろえていて、まあそれほどガックリしていません。感情の感じ方もだいぶんユル~くなっています。

たぶん、老いが来る時期というのは個人差が大きいんでしょうね。あと一週間もすれば私は55才になります。しかし、私はもういまの時点で完全に「初老の域」に入ってしまいました。世間の大半のひとはまだまだ張り切って五十代を過ごしていると思います。けれども、こうなってしまったからには自分なりにこれからの生き方を考えないといけません。

いつ、なにがあっても後悔しないように備えておきたいなあと思っています。そのためには、やっぱり「少しでもやりたいこと」があればそれに手を付けておきたいです。これからトシを取れば取るほど、ますますおっくうになるでしょうから、そうなる前にいまのうちにちょっとだけでも取っ掛かりを作っておこうというわけです。

ウェブの勉強をはじめたのもそういう意味合いがあってのことで、べつに若いひとのようにバリバリできるようにならなくても、興味があるんだったらただやってみてもいいよねと考えています。

カラダやオツムがもっとおとろえてしまったとき、「ああ、アレもしたかったのに、コレもしたかったのに」と嘆くことのないように、いまのうちに自分を楽しませておきたいなあと思っています。

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