層雲峡観光ホテルにて7:00起床。今回の放浪中、ホテルに宿泊するのも4回目。慣れてきたので時間に余裕も出てきて、温泉にどっぷり、食事をゆっくり、部屋でまったりの配分がうまくできるようになってきた。なんでも経験じゃのう。
なので、まずは朝湯をのんびり楽しんでから、朝食バイキングへ。ごくふつうのチョイス、でも豆サラダがとくにおいしかった。
朝も別腹は健在。
車中泊も自由でいいけれども、やっぱりたまにはホテルに泊まろう。広い部屋でのびのびできるし、レストランの食事も楽しめる。
今日も小雨が降っているので、層雲峡から近場にある「北海道アイスパビリオン」へ行ってみた。
体験型美術館として、マイナス20度の館内で氷の世界が楽しめる。いきなりイルミネーションがみごとだ。
極寒ゾーンへ入るまえに、防寒コートを貸してくれて、
手袋とぬれタオルも。タオルは、極寒のなかで振り回すと凍るらしい。
カラーのライティングがにぎやかなところだ。
いよいよ極寒の「アイスホール」へ。ぶっといツララがびっしり。
見上げるとこんなながめで壮観。
25年かけて造りあげた氷柱氷壁だそうだ。
そのなかの小部屋でマイナス41度を体験できる。
なかに入ってボタンを押すと、マイナス41度の寒風が吹きつける。うう、冬山を思い出した。
濡れタオルはカチカチに凍っている。北海道のひとは毎冬マイナス20度が当たり前だからたいしたもんだなあ。
アイスホールから出て温かくなりほっとしたところで、かわいいクリオネがいっぱい。
クリオネを見るのも5回目だが、ここのクリオネはとくにイキがいい。
大きさは1cmくらいかな、ヒラヒラただよっている姿は見飽きない。
そして、少しクルマで移動して「当麻鍾乳洞」へ。
鍾乳洞ってはじめて見るのだが……な、なんだこの世界は?! 一歩なかに入るやいなや、見たこともない異様な光景に思考停止。
この鍾乳洞は1億5000万年前の中生代ジュラ紀から形成されてきたとのこと。とんでもなく圧迫感をおぼえるのだが、やはり想像を絶するような時の重みなんだろうか。
昨日「北の大地の水族館」で見た巨大古代魚「ピラルクー」が1億年前と変わらない姿だそうで、アイツも無言で圧をかけてくる雰囲気だったが、ここ鍾乳洞もおなじような凄みを感じる。
天井からトゲのようなものがいっぱい。なぜこうなった?
ヌメヌメと光る何者かに圧倒される。
なぜそんなにうつくしい形をとったのだろうか? 左にのびる回廊は、どこへいざなうというのだ?
鍾乳石は、3cm成長までに約200年かかるそうだ。このタケノコ状の鍾乳石(石筍/せきじゅん)は高さ60cmほどで、そうすると4000年を経てこのすがたになったわけだ。
ああ、4000年が目のまえにあるんだと思うと、あまりにも感慨深くてその場を動けなくなってしまう。
地中深くにある洞窟だというのに、けっこう彩りがあって驚かされる。
池もあちこちに見られる。
こういうブツブツ、好きだなあ。そういえば、温泉の湯船にこの手のブツブツがあると、いつもさわって楽しんでいた。そうか! 私は石が成長したものが好きなんだな。
この鍾乳洞は全長135mで大小さまざまな洞がつらなり、ところどころしゃがまないと通れないほど低い天井もある。
ふいに開けた洞で、うえを見上げると凄絶な天蓋が広がっていた。
奇怪な形態ばかりなのだが、非常にうつくしい。
ああもう、どうにでもしてくれと言いたくなるほど、びっしりと。まるで内臓のようにヌメヌメ、テラテラ埋めつくされている。
この薄い膜のようなものは単に「カーテン」というらしい。ほんの3cmひらひらするのに200年か。
太古からそこにあるオブジェ。
どうしてこんなにもうつくしいのか、茫然と見入ってしまう。
いやいや、とんでもないものを見せられて意識がぶっ飛んでしまった。ようやく洞窟から出てきたら、外の光がウソのようにまぶしい。鍾乳洞がこんなにもすごいものだとは!
なんかしょっちゅう書いているけれど、とにかくまずは行ってみるものだなあ。この鍾乳洞もガイドブックには小さく立ち寄りスポットとしてのっている程度だったが、じっさいに来てみたら強烈なショックを受けるほどだった。
でも、これから新しい楽しみが増えたよ。私は鍾乳洞が大好きとわかったので、本州にある鍾乳洞へもこれから行ってみたらいいんだ。いやいや、このトシで好きなことが増えるのは本当にありがたいねえ。当麻鍾乳洞のおかげですっかりゆたかな気分になれた。
今夜は、その当麻にある道の駅「とうま」で車中泊。