北海道放浪65日目|チセヌプリ敗退、しかたがないので神仙沼おかわり、最後はねぐらジプシー

5:00起床。車内温度11.2度。昨夜から晴れており放射冷却で、けさはこんなに冷えこんだ。しかし外を見ると快晴で雲ひとつなく、ソワソワして起き出した。

晴れわたっているのがうれしくてたまらず、道の駅「ニセコビュープラザ」を出発、昨日と同じくニセコパノラマラインをゆるゆる走り出す。

まずはニセコアンヌプリにおはよう。

ニセコパノラマラインが峠となるところで、チセヌプリがとびきりきれいに見えた。

昨日に気がついていたが、チセヌプリはこの峠から登れるらしく「チセヌプリ登山口」の標識がある。

登山口付近には数台クルマが停まっており、ちょうどひとりの男性が早くも下山してきた。よし、ちょっと訊いてみよう。

私が「あのう、頂上までどのくらいですか?」と尋ねると、年配の山慣れたふうの男性は「そりゃ、ヒトによってちがうわ」という。おお、いきなり模範解答だ。

「どうでしたか? チセヌプリはよかったですか?」と私がさらに訊くと、男性は顔をしかめて「苔のついた岩が多いね。ふだん大雪山系だから、あそこの岩は乾いているでしょ? ここのはすべるからタイヘン」

そして続けて、「そうだな、僕の足で50分だった。ふつうはまあ1時間ぐらいかな」と教えてくれた。ふうん、それなら私にも登れるかもしれない。男性にお礼を言ってから、ありあわせのモノでしたくをしてあとさき考えずに歩きはじめた。

抜けるような青空にダケカンバの緑がうつくしい。

見上げると、チセヌプリの丸いアタマが見えている。いいじゃないか!

ところが、歩きやすい小道は5分ほどでなくなり、いきなり岩だらけの道になる。これだったのか!

それでも最初のうちは小さめの岩だったが、だんだん大岩が積み重なってきて、ちょっと見ただけではどこを歩く、というかどこをよじ登ればいいのかわからなくなってきた。
両手で岩角をつかんでカラダを引き上げないといけない箇所も出てくる。こりゃあ、めったくそタイヘンだわ!

それでも小1時間ほど岩と戦いつづけるうちに、ようやく視界が開けてきた。

振りかえると、うわぁ絶景! ニセコアンヌプリとうしろに羊蹄山も見えている。

ニセコパノラマラインもくっきり見える。

足が疲れてきたので岩に腰かけて景色をながめていたら、上から60代くらいの男性が降りてきた。
男性は「ひとりで来たの? すごいねえ。ここはタイヘンだよ」という。うほっ、やっぱりタイヘンな山なんだ。

「そんなにタイヘンでしたか?」
「そう、ずっとこんな岩だらけで、頂上手前のちょっとだけしかいいとこがない。もう少し上がるとスゴいところもある」
「スゴいところ……」
「大岩がふさいでいるけど、左から回り込んだらいいから」

はあ、やっぱりかなりタイヘンな山なんだ。たしかにココまででもうんざりしたけど。
私が超ビビッていたら、男性は「いやいや、ゆっくり行ったら大丈夫だよ。まだ時間も早いから」と言ってくれた。

しかし最後に「このあたりで半分ぐらいかな。気をつけてね」とのこと。
うへえ、まだ半分かあ。半分で1時間かかっているから頂上まであともう1時間?! 行けるかなあ。

そのひとと別れて、さあボチボチ行こうかと思ったけど、座った姿勢から立ち上がるのに苦労した。ああホント、足腰が弱っていて立たれへん。てか、和式便所でしゃがんだきり立ち上がれないババアがこんな山に登ること自体まちがってないか?

それでももう20分だけ登ってみた。相変わらず大岩がこれでもかこれでもかと続き、岩をつかんだり押したりまたがったり山岳修行のようだ。

ところが、この巨大な岩があらわれたところでホトホトげんなりした。これかなあ、さっきのひとが言ってたヤツ。

私の背丈より高い岩で、岩の上のほうもヒトが歩いた形跡があるが、左に落ち込んだところも歩けなくはない。しかし左もかなり危なっかしい。

この岩の前でしばらくぼーっとしていたが、ああもうやめよう、ここで引き返そうと思った。もし頂上まで行けたとしても、下山で足が持ちそうにない。登るのにこれだけ苦労したから下りはもっとタイヘンだ。

結局1時間20分登ったところで下山する。下るのも非常に難儀で、足が短いから岩から岩に足が届かず、いったいどうやって降りるのか悩みながら四苦八苦。いやあ、これは私にはムリな山だわ。
それにしても、この岩ゴロゴロを経験したヒトはもしかすると1度しか来ないかもしれない。

とはいえ、すこぶるいい眺め。

登りのひとたち数人とすれちがい、元気モリモリのにいちゃんなんか「最高の天気っスねえ~。チセのあとはアンヌも登りまーす!」と、ニセコアンヌプリのことをまるで自分の彼女かなんぞみたいに呼び捨てにしてガシガシ登っていった。
いいよなあ、若いひとは岩だろーがなんだろーが平気だもんね。

足をくじかないようにこわごわ慎重に降りてきたら1時間25分もかかり、登りよりも長くなってしまった。ふう、無事に降りてこられてやれやれ。

駐車スペースでひと息ついていたら、いまのチセヌプリから外国人女性がひとりで降りてきた。30代ぐらい、上背のあるたくましい女性で、私など眼中にない様子であっという間に道路を横切り、となりに見えるニトヌプリへ続く登山道へ消えていった。

はあ、ニセコ連峰縦走なんだろうな。ニセコ連峰はチセヌプリ~ニトヌプリ~イワオヌプリ~ニセコアンヌプリと縦走することができる。すごいなあ、女性一人で外国に来てヒトの少ない山域を平気で縦走するんだ。

ヘロヘロになった私は、チセヌプリを半分で敗退してがっかりだし、登山口からクルマで数分の神仙沼へ向かった。
そこにはりっぱなレストハウスがあり、

野菜カレーを食べる。軽食もあって助かったよ。

少し回復したので、神仙沼をおかわりしよう。

おっと、リスがいた。でもすぐに逃げちゃった。

湿原では、今日も可憐な池塘が迎えてくれるし、

岩なんかよじ登らなくて、木道をぽくぽく歩くだけで、

ひそやかな神仙沼にたどりつける。今日も雲が多くなってしまったけれど、やっぱり静謐でうつくしい沼だ。

で、湿原からは例のチセヌプリが見えるんだよお。

キミ、そんなにやさしいふりして、あんなに岩ゴツゴツだなんて、ええと、ツンデレじゃなくてなんていうの?

ニセコパノラマラインを日本海に向かってゆるゆるくだり、岩内にある「サンサンの湯」へ。

地元のひとが多い気軽に入れる温泉。源泉はかなり熱いがにごってよく効きそうなお湯。

休憩所は網戸だけで涼しくてゆっくりくつろげた。

さて、今夜の車中泊地として道の駅「いわない」へ行ってみたら、

施設が分散していて、駐車場も遠いし道の駅のトイレもない。トイレは近辺の公衆トイレを利用するらしい。

トイレだけでもひと苦労でウロウロしているうちに、眠たそうなネコがいたり、

なぜか道のど真ん中にいる海鳥に出会ったり。

かたむきかけた日差しのなかで、彼はただじっとたたずんでいた。

道の駅「いわない」に泊まるのはなんとなく気が進まなかったので、そこから29km離れた道の駅「オスコイ!かもえない」へ向かった。

ほとんどクルマがいない国道229号線を北上するうちに日が暮れた。日本海に太陽が没する。

ところが、暗闇の道の駅「オスコイ!かもえない」のベンチには異様なオブジェがあった。う~ん。

車中泊らしきクルマは1台きり。ちょっと気もち悪いよなあ。
夜の6時半なので都会ならばどうってことないのだが、ひと気のない海辺でこういうシチュエーションは困るな。

しかたがないので、さらに53km離れた道の駅「スペース・アップルよいち」をめざす。
このとき、私のアタマはおかしくなっていた。冷静に考えれば「いわない」へあと戻りしたほうが近い。それなのにどういうわけか夜の峠越えをしたくなったのだ。

積丹半島の背骨をブッツンと横断する道道998号線を延々と走りつづけて、2時間後にようやく「スペース・アップルよいち」に到着した。ふう。

この道の駅には20台ほどクルマがありほっとした。しかし、ここでは道の駅Wi-Fiに接続ができなかった。トラブル続きでげんなりしたが、疲れていてブログを書く気力もなかったし、もう寝ることにした。

長い長い一日が終わった。きっと一生忘れられないだろう。

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