お仕事1年生、ハイキングも1年生

仕事の休憩のとき、先輩のパートさんが「どう? 少しは慣れてきた?」と訊いてくれた。
私より少し年上と思われるそのひとは、いつもおだやかな口ぶりで、きれいな長い髪をそのままおろしているやさしい女性だ。

「いえいえ、ぜんぜん慣れません。むずかしいですねえ」と私が答えると、「そうだよねえ、こんな仕事、やってたことのあるヒトはめったにないし、タイヘンだよねえ」と言う。

それもそうだ。とくにコールセンターの仕事なんて、50代ではじめるヒトもそんなにいないかもしれない。
それに一般的なコールセンターは、たぶん都会にあって、若めのヒトがもっと高時給でガッツリ働いているイメージがある。

しかしここのコールセンターは、センターというほどの規模ではなく、田舎の会社の一部門にちょっとひっついている程度だ。
要するに、電話番のおばちゃんを数人置いているにすぎなくて、たとえばヘッドセットなんかもないから、受話器を肩にはさんで応対する。

パソコンは情報を見るだけで、入力はまったくしない。連絡やらメモやらぜんぶ手書きだ。
そういえば、前の前のパートもすべてが手書きでおどろいたけれど、そういう会社はまだまだたくさんあるんだね。

複数必要なメモは、アノ黒いむかしながらのカーボン紙をはさんで書くので、なかなか昭和テイストがただようアナログなやりかただ。
しかし、もしこの仕様をデジタルに変えたとしても、入力がめんどくさいし、プリントアウトする時間もムダかもしれない。

結局、いまのところは手書きでササッと書いて、パッとちぎって、別部署にすぐに回すほうがかなり効率的なのだ。
なので、純然たるコールセンターとはまたちがっていて、まあでも、そのアナログ仕様のおかげで、あまり追い込まれることもなくマイペースで働ける。

それでも、ふと気がついたのだが、やっぱり私は1年生だよねということだ。
先輩のいうとおり、こんな仕事ははじめてなので、まだまだ慣れない1年生なのである。

で、もうじき57才をむかえるというのに、まったくはじめての仕事をイチからやっているって、すげえことだと感心した。
まあ、こんなにヘタレでオツムがゆっくりな私がやっているって、ちょっと信じられへん。

コンビニだったら前に経験があるので、もっと早く慣れるし、あらたに覚えることがそんなになくて苦労せんでよかったのに、でもコンビニは不採用だった。
しょうがないので、こっちのコールに来ちゃったけど、はあ、どれもはじめてのことでしんどいねえ。

だから「まだ1年生だからしょうがないね」とつぶやいている。
そうそう、18才で働きはじめたときといっしょだ。あのときも慣れるまで何年もかかったんだから、こんどもそのぐらいかかると思っとこ。

1年生といえば、ハイキングだって1年目なのである。
こちらは、ずっと以前に経験があるものの、運動不足で筋力が低下して駅の階段も登れなくなってしまった。

そういうまったく「ゼロ」の状態から再開したから、やっぱり1年生なんだよなあ。
いくら経験があっても、いまの時点で登れるだけの脚力がぜんぜんなかったから、そりゃあもう、初心者と同じなのだ。

しかし、このトシでありながら、仕事とハイキングというふたつの新しいことをはじめられて、これはちょっといいコトかもしれん。
もしかすると、これまでよりも充実した生活になるかもしれないね。

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