昨日あれだけ寝たのに、朝方気分が悪くて目を覚ます。ミョーな夢見て苦しんでいるうちに目が開いたのだが、じっさいにめちゃくそしんどい。ああしんどいしんどい、え?まだ4時なのに目が覚めてしんどい。
そのうち寒気がしてきたなあと思ったら、また熱が出てこんどは暑くなる。風邪ぶり返し?最悪やん。
でも、パートを休むつもりはなかった。ココで休んだらまたクビになるやんけ!
ぜんぜん眠れなくて熱出てても、いや行くねん。7時に起き出して、7時45分にウチを出る。まあね、徒歩8分のトコやから、ホンマ風邪ぐらいで休まれへん。
しかし、今日はことさらに忙しかった。朝8時まえからやることが山積み、休憩は12分だけ、あとはぶっ通しで夜の8時40分になってもうた。でも、時給が発生するのはそのうち7時間だけなんだよね。けっこうサービス労働が多いとこやねん。
けれども、辞めへん。どういうわけか、このホゲフガ商店でどっしりがんばろうと思ってる。
さすがにもう、ケツ割りたくないねん。ココにご縁があって、それに面接でこんなババアを即決してくれたから、やっぱりココで働こうと決めてる。そういう気もちが固まっていたから、体調が悪いそぶりは見せないようにして、とにかく耐えてみた。そしたら、なんとかギリギリ最後までいけた。
そいで近所のスーパーに寄って晩メシ買ってマンションまで帰ってきたけど、はああ、階段登られへん。マジで足が上がらん。限界。ちょっとタンマ。ここまでしんどいときは休もう。階段のウラに回ってそこで座り込んでみる。
地べたにへたり込んで目を閉じていたら、むかし登ったカムイエクウチカウシ山(標高1,979m)を思い出した。北海道にある山だ。長すぎるから「カムエク」とか言われてる。ベートーベンのソナタ→ベトソナ、モーツァルトのソナタ→モツソナ、カムイエクウチカウシ山→カムエクね。
そのカムエクは、まあかなり難易度の高い山で、おばはんの単独行はまずおらへんのう。それでもワシ行ったけど。2泊3日テント泊で。ヒグマもおったわ。遠かったけど見えたわ。カムエクは沢登りもせんとあかん山で、はあ、むずかしかったよ。とちゅうで疲れ果ててやっぱり地べたに寝そべってもうたわ。
けどさあ、いまは自分トコのマンションの階段すら登られへん。なんかオカしくなって、クククって笑ってもうた。あのときのワシといまのワシ、おんなじ人間なのにさあ。
そう、ホントのホントに「そのときしかできないこと」ってあるんだよねえ。人生でたった一度しか経験できないことってこんなにたくさんあるんだ。カムエクはアレがさいしょでさいご。
だったら、シューベルト:楽興の時第4番の「タンタンタンタン」もきっとさいしょでさいごなんだろね。ましてや、発表会で弾くなんて一回こっきりの出来事だ。てか、こないだぜんぶ終わったインベンションもアレでさいごやろね。いまやってるシンフォニアもおんなじ。なんだか「これでおしまい」が多すぎ。
つまり、だ。やっぱりヒトって「有限の存在」なんだよね。ずーっとつづくような気がするけど、そうじゃない。
そう思うと、この一瞬がいとおしくなった。うんうん、今日階段上れないってこともいい思い出になるじゃん。
しばらくへたばってたら動く気がしてきた。おもくそゆっくり立ち上がって、階段までよろよろ歩いて、手すりにつかまって長い時間をかけて一段一段よじ登った。たかが階段でも最後まで登り切ったらうれしかったよ。
で、目の前が黄色くなるほどしんどかったけど、ピアノも練習した。さすがにどの曲も一回だけしか弾けなかった。さあて、明日はレッスンなんだけどね。