パートのイヤさ加減がちょっとマシになった理由

むかしむかし高校を卒業したあとに就職した会社は、けっこう飲み会に行かないとあかんとこやった。毎月1回はあったなあ。まあ社長がそういうの好きやったんやろね。いやおうなくみんな参加するのが当たり前だった。

で、ワシみたいな高卒のおばはんは入社してから定年までずーっといっちゃん下や。仕事でも雑用ばっかりやし、飲み会行っても下働きせんといかん。やれおしぼり渡したりビールついだり小皿配ったり鍋の世話焼いて取りわけて渡してご飯よそって、難儀なのはみんなのコップの開き具合を年がら年中ウォッチしてないかんこと。

ああ、思い出したらワシもう二度とビール注ぐ仕事やりたないわ。まあそういうのも給料のうちっちゃーそのとおりなんだけどね。

そういえば飲み会が終わったあと、ワシら下っ端はそのままウチに帰ったけど、上のヒトたちはまた会社に戻って行ってた。飲み会のあとでもまた仕事しに会社に戻るんだよね。そういう会社やってん。過労死するヒトが何人もおったとこやってん。



その会社辞めたあとは、パートに行っては辞め行っては辞めの繰り返し。どこも長つづきしなかったから、パート先で飲み会に行ったことがなかったよ。

いまのパートは去年の11月下旬から勤めはじめた。ほかに20数社面接とか落ちたけど、いまのお店だけが面接したその場で採用を決めてくれたんだよね。あのときはほんとうにうれしかったなあ。

だから、できるだけこのお店でちゃんと仕事できるようになろうってがんばってきたものの、ワシやっぱり仕事できないんだよね。10年ほど前から始まったもの忘れがひどすぎるのだ。

記憶術セミナー(ストアカ/シンが教える記憶術)を去年受講したので、お客さんの顔と名まえだけはかろうじて覚えられるけれども、仕事の手順を丸々暗記するのは非常にむずかしい。

ワシの無能さは、先輩パートさんはもとより店長さんにも知れ渡っている。きっと店長さんは、このババア雇ったんは失敗やったなあと思てはるにちがいない。でも、みなさんワシのことをあからさまには責めたりしない。



飲み会に誘われてほっとしたよ。仲間だと思ってくれてるんだなあ。飲み会の店へ行って、席について鍋見てもうんざりはしなかった。むしろちょっと懐かしくさえあった。ええよ、このヒトたちのためなら鍋の世話してかまへんよ。

じっさい飲み会はとても楽しかった。日ごろ感じていたとおり、みんなは細やかな気づかいのできるヒトたちばかりだった。グチめいたことを話すヒトはだれもいなかった。鍋の世話もみんながそこそこ気を使いながらやってくれて助かった。

先輩パートさんのうち、ひとりだけが用事で欠席していたのだが、何人かのヒトがそのパートさんに「鍋見せつけたるねん」ってLINEしていた。そんなのを見ていても気もちがなごむよね。

あらめていい職場だなあって思ったよ。みんなは、ワシがあまりにも仕事ができなくて困っているだろうけど、いや、正式にクビになるまではワシここに居とこうって思うよ。

仕事もできるだけがんばろう。
そういう前向きな気分になれるとてもあったかくていい飲み会だったよ。

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