なぜ妹は「認知症になりたい」のだろうか?

またまた今夜も妹から長時間電話である。このところなぜ妹は私に電話をかけてくるのか?

それは、いま現在「男の在庫」がゼロだからだ。彼女は本来「男」にしか興味がないので、聞いてほしいことはぜんぶ男どもが対応していたはずだ。しかしいまは在庫切れのため、しょうがないので姉の私にとりあえず電話してくる。

さて、いま妹がかかえている大問題は「会社をやめる」ことである。妹「やめる時期、早くなった。たぶん3ヵ月後だよ」

現在妹が行っている会社は、去年4月から勤めはじめている。妹も転職回数が多い。ここが10ヵ所目らしい。ちなみに引っ越し回数は21回だ。ベートーベンの転居回数79回にははるか及ばないものの、一般人としてはかなりがんばっているほうだろう。


で、会社をやめるいきさつなのだが、もとはといえば「去年秋ごろから物忘れがひどくなり、仕事で重大なミスをしそうだからやめたくなった」とのこと。その後、付き合う男たちから「何度も同じことばかり訊く。すぐに忘れる。おかしい」と言われてますます不安になり、認知症専門外来を受診した。

そして、その診断結果が出るのが6月26日とまだ先であるにもかかわらず、もう今日、妹は会社に対して「やめます」と伝えてしまった。

よくよく話を聴いてみると、妹の本音は「やめたくない」のである。「自分にしかできないこともある」ともいう。そうだろうと私も思っていた。妹はりっぱに仕事をしていたはずだ。けれども「ミスをする不安」にさいなまれて、もう早々と辞意を表明してしまったのだ。

妹がたまに物忘れをするのは事実だ。ホントのところは、いっしょに生活してみないとわからないが、電話やメールのやりとりでも「ああ、忘れているな」ということがある。たとえば、今日妹から「おねえが行った物忘れ外来はどこの病院?」と尋ねられたが、これは3回目だった。


案の定、妹は「えーっ?! 3回もっ?! これはおかしい、ぜったいおかしい、仕事でもこんなことしていたらっ!」と絶叫していたが、いやまあ、それはね、ただ単に「興味が薄かった」んじゃない?

それともうひとつ、彼女お酒を飲みすぎるからね。あちこちでアル中呼ばわりされてるけど、たしかにほぼ毎日飲んでるかな? 電話中もずっと飲んでるみたいだし、そりゃ忘れるよね。それに「飲まないとやり切れない理由」もテンコ盛りだからしかたないよね。

男と酒でエラいことになっている妹なのだが、そうなるべく人生を送ってきたからいまがこうなったわけで、それが幸か不幸かはだれにもわからない。でも、「会社、本当はやめたくない」って泣いていてかわいそうだった。そうだよね、去年の春、あんなに期待して勤めはじめたのにこんなことになるなんてね。

ただ、ずーっと妹の話を聴いていると、ふとこう思った。「なにがなんでも認知症になりたいのはどうしてだろう? なにかメリットがあるからそうするのだけど、そのメリットはなんだろうか?」


それこそ、私自身が去年「認知症疑いで解雇」されたし、このブログでもさんざん「おかしい、おかしい」って自分で騒いできた。そのころの私は「仕事でミスをしてはいけない」「努力すれば記憶できるはず」と思い込んでいた。だから「物忘れはぜったいしてはいけないこと」だった。

でも、いま私はそう思っていない。自分を客観的に観察してみたら「興味のないことは覚えられない」とわかってきた。仕事、興味ないんだよね。で、ピアノは興味があるからレッスンで習ったことの歩留まりがいい。ピアノの先生も「春子さんのトシ、考えたことありません」と言われる。

あ、そしたらべつに悩む必要ないね、とパッと割り切れて、それ以来物忘れを気にしなくなった。ピアノで間に合っていればそれでいい。仕事のミスは知らん顔しておく。

ところが、まあそれは私の場合であって、これから妹がどこに着地点を見出すのか、それは妹が探さないといけない。


どうして妹は「認知症である確固たる診断」が欲しいのだろう?と考えていたら、もしかして「免罪符」が欲しいのかなという気がしてきた。「認知症という免罪符」があれば、もうだれも妹を責めないから。たぶん、妹は「責められたくない」んじゃないか?

そもそもだれが妹を責めたのだ? それは母ちゃんである。母は妹に対して「完璧」を求めた。テストの結果は必ず「1位」でないといけない。「1位」以外は認めない。ミスは決してあってはならない。という責め苦を幼いころから妹に与えていた。

私は、それを見てきたからよく知っているよ。そして、妹もまた、私が母に虐待されるのを見てきて、自分はそんな目に遭いたくないとおびえていた。いま私も妹も、母の生い立ちが不幸だったからこそ、ああなったのはしかたないよねとアタマではわかっている。それでもまだ、私たちは母に支配されている。

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