「男」より優先順位が高いモノ

私は人付き合いが極端に少ないので、よく知っている夫婦というのがたった二組しかいない。一組は私の両親だ。長年間近で見てきた夫婦の筆頭にあげられるのは、たぶん自分の両親だろう。

父が脳梗塞で寝たきりになったとき、いろんな話を聞き出した。私は、訊きたいことはいまのうちに訊いておかないともう知ることがかなわなくなると思い、父にさまざまな問いを投げかけた。

そのうちのひとつに「結婚してよかった?」というのがある。父ちゃんは「まあまあやね」と答えた。
「いい人生だった?」
「まあまあやね」と同じことばが返ってきたけれども、父ちゃんはまんざらでもないおだやかな顔つきだった。

父は昭和5年生まれだし、妻やコドモにわかりやすい愛情表現なんかまったくできない男性だった。けれども父の行動を見ていると、ああこのヒトがいちばん大切にしていたのは「妻を守ること」だったんだなと思わせられる。

父自身が行きたいところなどほとんど行かずに、妻が行きたがるところばかりいつも連れて行ってあげていた。どこへ行くのもずっといっしょに行動していた。


さて、もう一組私がよく知っている夫婦は会社の上司だった。私は高校を卒業した後ある会社に就職した。そのとき長いあいだ私の上にいたヒトだった。いわゆる団塊の世代にあたるヒトなのだが、とても家族を大切にするヒトだった。

このヒトも、休日を過ごすときはどうすれば奥さんがよろこんでくれるだろうかといつも考えていた。休みの日の夜に奥さんが「今日も楽しかった」と言うのを聞くとほっとしたという。こっちの夫婦も年がら年中つねにいっしょにどこかへ行っていた。

そうそう、この上司のすごいところは「結婚してから夫婦ゲンカが2回」ということだ。そうだろうと納得させられるところは、私に対する態度でもよくわかった。たいそうこまやかに気を配ってくれるヒトなのだ。

私はナントカ障害のケがあるので、仕事中にだれかから話しかけられるとパニックになる。そういうあたりまでわかっていて、あるときなど私の机の周りにダンボールで要塞を築いてくれたこともあった。当時の私は当たり前みたいに思ってとくだん感謝もしなかったが、いま思い返すと、たいした仕事もしていない私によくそこまで気を使ってくれたなあと感心する。


私は、この二組の夫婦しか知らないのだが、どちらもしあわせな夫婦だよね。そもそも相性のいい相手をちゃんと選んでいる。何十年いっしょに暮らしても飽きないし不満にも思わない相手をチョイスしているというところがすごい。ここらへんはきっと潜在意識の領域で直感で選んでいるのだろうね。

ただし、べつに一生同じヒトに添いとげる必要もないだろう。寿命も長くなったことだし1、2回離婚するほうがむしろ自然かもしれない。根本裕幸さんのクライアントには最高「バツ6」という強者もいる。

先日カウンセラー養成講座の昼休みに、私が「あやさん(大塚あやこさん)の個人セッションを受けてしばらくしたら、親との距離が離れて、私の中で『男第1位』のポジションが空白なんです。そこんとこ長年父ちゃんが君臨していたんですけどね」とくっちゃべった。

そしたら50代半ばぐらいの女性が「いまからでもだいじょうぶですよ」と言う。
「いま老人ホームとかでハヤっているそうですよ。籍は入れずね、お付き合いしてるヒトって多いんですって。だから春子さんもだいじょうぶ。がんばってね」と励ましてくれた。


そっかー、老人ホームで男漁りするのかーって感慨深かった。わりかしびっくりしたのは、妹との温度差だね。彼女はマッチングアプリでガンガン責めてるもんね。たしか前の前の前の彼氏は12歳年下だった。

で、ええと、私は老人ホームで探すのを推奨されたのか? いやちょっとタンマ。アプリですぐに探すかどうかはともかく、ソレってどないやねん?!って思ったわ。まあ私は老けてるし、たぶん還暦越えのババアに見えたんだろう。だから老人ホームか。

いや、ソレはやめとくわ。まず第一にそんなに先送りしたらホンマに枯れ果ててしまう。それでなくても廃墟になりつつあるのだ。登山のガイドブックなんか見てたら「この登山道は廃道化していて通行不能」とかあるけど、マジでそうなるぜ。

なので、先日妹に「粉のかけ方」を具体的におそわったが、うむ、蛇の道は蛇、すぐれた先達の指南どおりにやってみようと考えている。ただし私は「いつもいっしょ」とかすごく苦手。それに非常に忙しいのだ。そもそも男よりピアノだろ? バッハ最優先。すべては、バッハの余りがあったらのハナシね。

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