しょぼいババアやな|「仕事さん」との対話 その1

カウンセリングの練習とは、どのようにはじめるのか?

たぶんみんなジャンケンだと思う。さいしょはぐーっ!じゃんけんほいっ!で、ありゃ負けた。勝ったほうがカウンセラーと決めておいたから、私はクライアントだ。

なんだけど、あの「さいしょはぐー、じゃんけんほい」の拍子が日本的すぎていつも「うっ」となる。子どものころからそういう「日本」っぽい拍子は聞きたくなかった。ガキながらもそういう拍子にうっかりなじむと、ピアノのリズムに影響しそうな気がしてたからだ。

だのに、やっぱり小学校なんかで「いーんーじゃーんーでっ、ほーい」とかコテコテの大阪弁でジャンケンせんならん。


そういえば、いつだったかの「ビリーフリセット・リーダーズ講座」で、大塚あやこさんが、「だいたい『わがまま』ってなんでしょうね?」と言う。まあなんでそういう話になったかというと、受講生のみんながたいがい親から「わがままだ」と責められた過去があるからだ。

自分の人生なんだから自分の好きなように生きたらいい。わがままでいーじゃん、べつに。なので、大塚あやこさんが「はい、じゃみんなで歌いましょう」と言われて、みんなで手拍子打ちながら「っあ、わっがまーまだー、っあ、わっがまーまだー」って歌った。

そもそも大塚あやこさんは作曲家/ピアニストのかたなんだが、いかな作曲家のひとでも即席手拍子で歌うときは、あの「宴会の音頭」になるんだなあとひどく感心した。ずんたたった、ずんたたった、てのは一拍目が沈み込む。日本で生まれ育ったからには、一拍目でずんっ、ずんって地面を踏みしめたくなるのがごく自然。手拍子は擦り手ね。

で、なんだっけ?


そうそう、受講生仲間のAさんが自主トレのために私のウチに来てくれて、まずは私がクライアントになった。お題はなんにしよう? いまに限らずずーっと悩んでいるのは「仕事」だが、エンプティチェアで「仕事」なんかできるのか? ふつうエンプティ・チェアは「自分 対 親」とか「進みたい自分 対 動けない自分」とかでやるのに。

そしたら、Aさんは「『仕事』でもできますよ。いろいろできると本にのっていました」という。いつも勉強熱心なAさんはもうすでにゲシュタルト療法の本を一冊読んでいた。エンプティチェアはゲシュタルト療法の技法のひとつである。

「できます」ということばを聞いたら、にわかに「仕事」でやりたくなった。「仕事」と対話したらどうなるだろう?と興味が湧いた。

講座で習った手順では、まずもうひとつのイスに座る「なにか」に名まえを付けることになっている。Aさん「では、『仕事ちゃん』にしますか?」 い、いや、そんなかわいいもんじゃねーよ。40年悩まされてるのに「ちゃん」はムリっス。私「まあ、せいぜい『仕事さん』かなあ?」


そして、つぎはふたつのイスの位置関係を決める。自分にとってしっくり来る位置にイスを移動させる。ちなみにワークで使うイスは、グランドピアノのイスと電子ピアノのイスにした。カタチがほとんどいっしょだからだ。まあでも、グランドピアノのほうがひと回り大きくて造りもりっぱだ。

私は、りっぱなほうを「仕事」のイスにした。自分は貧弱な電子ピアノのイスだ。そりゃだって「仕事」は「真っ当な存在」だよね。私自身よりも「仕事」のほうがエラいねん。だから「仕事」はええイスに座らせるねん。

しかしそんなにりっぱな「仕事」に、私は向き合いたくなかった。なので、「仕事のイス」からちょっと離れた位置に自分のイスを置き、しかも「仕事」から90度ちがう方向を向いて座れるようにセッティングした。だって「仕事」が視界に入るところにいたくないもん。

さて私は、その「仕事」からそっぽ向いた電子ピアノのイスに「私です」と宣言して座った。Aさん「座り心地はどうですか? からだの感覚はどうでしょう?」


ふうん。そばに「仕事」がいると思うと、そう、劣等感をおぼえてあまりいい気分ではない。なんとなく胸がつかえたようになる。

Aさん「そこから『仕事さん』はどんなふうに見えますか?」

あんまり見たくねーなーと思いながら、私は首を90度右にひねってグランドピアノのイスのほうを見た。う~ん、なんにも見えないぞ。しばらく眺めていたが、ほんとなんにも見えない。きゃつはどないしたんや? おら、仕事っ!

Aさん「いま『仕事さん』に言ってみたくなることはありますか? 思いつきでいいですよ」
う~ん、見えないからねえ、言いたいことも湧いてこないな。


ちっとも見えないんで、とりあえず「仕事のイス」に座ってみることにした。いったん自分のイスから立って、ちょっとパタパタはたいて「自分」を払い落し、こんどは「『仕事』です」と言ってグランドピアノのイスに座ってみる。

「座った感じはどうですか?」と尋ねられて、う~ん、ふつうかな? ごくフラットな感じだ。

「『仕事さん』から春子ちゃんを見たら、どんなふうに見えますか?」

私は、電子ピアノのイスのほうを見た。するとそこには『私』がいた。あれ?髪の毛がみじかい。1年半前の自分のようだった。その「私」は少し猫背になって横顔を見せ、力なく腰かけていた。貧相なおばはんやな。「仕事」から見たら、なおいっそうしょぼくれたババアに見えた。

といっても、軽蔑するような気もちはべつになくて、ただ「ああ、冴えない様子で座っているなあ」と感じるだけだった。

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