「仕事のイス」に突如あらわれた3人|「仕事さん」との対話 その2

「仕事さんのイス」に座って「仕事」になってみると、「私のイス」に座っている「私」はずいぶんしょぼくれて見えた。いや、そのイスってほんとはだれもいないんだけどね。でも見えるんだよね、うっすらと。

カウンセラー役のAさんに「仕事さん、春子ちゃんになんでも話してください」と言われたので、私は、もとい「『仕事さん』になっている私」は、そのしょぼいばあさんに向かって「いや、ひとそれぞれだからね。キラいでもかまわないんだよ。向き不向きもあるしね」と声をかけた。なぐさめとるやん。

さて、また座るイスを交代する。いったん「仕事のイス」から立ち上がって、パタパタ「仕事さん」を払い落として、向かいにある「私のイス」に「私です」と宣言して座る。つまり、ふたつのイスに代わる代わる座って、その席にいるときの「気もち」をじゅうぶん感じてみる。

「私のイス」に座れば当然「私」のままなのだが、「仕事のイス」に座ると「仕事」になってしまうのがとても興味深い。これ、いったいなにをやっているのかというと、「自分自身の内面をイスの上に投影している」のだ。私が「仕事に対して感じていること」をイメージとして外側に映し出している。


もともと「私のなかに持っているもの」なので、じっさいに「仕事のイス」に座ると「仕事さん」になれる。擬人化した「仕事さん」はちゃんとしゃべる。こんなのやってると、ああなるほど、自分のなかにはいろんなキャラクターがあるんだなあと実感できる。

たぶん「ピアノさん」もいるし「カウンセラーさん」もいる。もちろん「内なる母ちゃん、内なる父ちゃん」もいるし、「内なる妹」もいる。でも、そんなのぜんぶがじつは「私自身」である。自作自演劇場。

Aさん「春子ちゃん、さっき仕事さんが『ひとそれぞれだから、キラいでもかまわないよ』と言っていましたが、それを聞いてどう思いますか? 仕事さんに言ってみましょう」

私は、また右側に首をひねり、ちょっと上目づかいに「仕事さん」を見た。グランドピアノのイスの上には相変わらずなにも見えない。でもまあ、仕事さんが話をしたものだから私もボソボソ返してみる。


「そう言われてもね、だいたい世間一般のひとたちはアナタとうまくやってるからね。そうでしょ? うんと成功しているひともいるしね。そうじゃないひとでも折り合いつけてなんとかやってるよね。私だってある程度がんばったつもりだよ。でもアナタはあんまり反応してくれないよね」

なんだ、「仕事さん」に「仕事のグチ」をこぼしている。仕事のグチ、ぎょーさんおます。しばらくのあいだ、くどくどと「仕事さん」に訴えてみる。

区切りがついたら、こんどはまた「仕事のイス」に座る。仕事さんになってみると、その文句垂れのばあさんが「なんかムダなことをしている」ように見えた。「う~ん、やらなくていいことやっているんじゃない?」

また「私のイス」にチェンジして反論する。「えーっ? だって生活費稼がないと生きてけないでしょ? しかたないよね」と口をとがらせていたら、わわっ! 「仕事さんのイス」の上に人影がチラッと見えたっ!

そのひとは、なんと大塚あやこさんだった!


私は仰天して、Aさんのほう向き直って「ああっ! いまあやさん(大塚あやこさん)が見えました!」と大声を出す。そしてまたイスのほうに視線を戻すと、わわわっ! 根本裕幸さんも見えたっ! ついでピアノの先生も見えたっ!!

「な、な、なにが起こってるんですかっ?!」と大興奮の私。するとつぎの瞬間、アタマのなかで火花が散った。

そうかっ!! 私にとって「仕事をしているひと」とはこの3人だったのか!

いやあー、やべえー、そ、そんな高水準のひとたちの仕事を「仕事」なんて思ってたら、ヤバすぎじゃん! みんなっ! いますぐ石投げてくれっ! 頼むわっ! でもなあ、私の潜在意識はマジで「仕事ってそういうモン」って思い込んでいるんだよなあ。


するとAさんがにっこりと、でもしっかり確実にここぞとばかり地雷を踏んでくれた。「春子ちゃんは、あやさんになれますか? 根本さんになれますか? ピアノの先生になれますか?」

それを聞いて反射的にムカッとした。うん、ムカッとしたときは図星なんだよお。そういうゲームなんだよお。地雷踏んでくれたひとに感謝するのがお約束なんだよお。

内心イライラしながら、私は「いや、なれません。そんなの、よく聞く定番ですよね」とブスッと答えた。どうせブスだしババアだし。まあそりゃ「ほかのだれにもなれない。私は私でしかない」とアタマではわかっているよ。

でも、ココでハラが立つということは、「それ、わかってへんやん。うひひ、当たりやん。ほれ見ろ、だから最低賃金のパートやりたくねーんだろ? ほれ、ぜんぶ吐いちまえ。ラクになるぜ。なに?まだ意地張るのかよ? もう猿芝居はバレてんだよ。いいかげんあきらめな」ってことだよな。

しかしじつは、「仕事の本性」はこの3人ではなかったことが、このあとに判明する。

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