どういうわけか好きこのんで「じわじわとしかなんとかならないモン」ばかりですねえ

山登りをしていたら、まあ北アルプスとか、ええと、北アルプスというのは飛騨山脈のことで、代表的なのは槍ヶ岳(やりがたけ)って言っちゃっていいのかな? ちがう? ちがったらごめん。たぶん合ってる。

でも、たとえば「燕岳(つばくろだけ)~大天井岳(おてんしょうだけ)~槍ヶ岳(やりがたけ)」というルートは「北アルプス表銀座縦走」と言われていて、なんですか、銀座というのはすごく代表的みたいなんでしょうか、なのだが山ヤにとってはあまりにも当たり前すぎて、混むからやめとこうみたいなルートだ。

しかし、こういうのは山登りが好きなひとにとっては常識でも、やったことがないひとにはなんのことかさっぱりわからんはず。

もちろん、私も山登りをする以前(20代以前)は富士山が何県にあるのかも知らなかった。当然槍ヶ岳も名まえを聞いたことがある程度で、燕岳、大天井岳なんか読みかたもまるでわからない。


ただまあ、三十半ばぐらいには底が抜けるほど登っていて、まだいまよりはずいぶん若いから、行こうと思えばどこの山でもふつうのとこ(ロープいらないとこ)ならひとりでどこでも登れた。ガイドブックだって2~3回読めばアタマに入っていた。

いろいろと便利でござんしたね、あのころは。

さて、北アルプスというのは人気がある山域なので、とてもよく整備されている。道標もきっちりあるし、三食付き山小屋もふんだんにある。それに比べて、南アルプス(赤石山脈)や中央アルプス(木曽山脈)はそういう面はやや劣る。

いま現在はわからないけど、むかし南アルプスの山小屋では「食事の提供なしだから→食料持参する」とか「寝具なしだから→寝袋持参する」で、そうなるとかつぐ荷物も重くなるから、「南アルプスって北よりむずかしいよね、体力いるよね」という感じだった。

ところが、だ。そういうのはぜんぶ「本州」のパラダイスだったよねえ、とあとで判明する。


北海道は、山もすごいんだよね。なにがすごいって「ひとの手が入っていない」のが。入らなさ過ぎて、まず道標なんかねーんだよな。登山口に至るまでも、林道何十キロとか、その林道に入るゲートの鍵を前日に営林署で借りてくるとかこないとか。有人小屋ないし。ヒグマもおるし。

とくに峻烈きわめているのが「日高山脈」でねえ。あそこの稜線は、水場がないんだよね。水場というのは「湧き水だったり小さい流れ」で、そこに行けばだいたい飲み水を確保できる場所だ。

ウチの母ちゃんに山の話をしていたら「水道ないの?」とか言ってたけど、山ン中は電気ガス水道なんにもありませーん。ガスボンベとコンロ、ヘッドランプ、電池は持参、水は水場で現地調達だし、コンビニもないから食料は基本ぜんぶおのれでかついでいくしかない。

で、日高山脈なんだけど、水を確保するのがむずかしいから、縦走(山頂から山頂へつないで歩く)しようと思ったら、ふもとから「水ぜんぶ持ち上げる」らしい。まあ、私もわりとよく「水、念のため3リットル」とかかついでいたけど。


ずっと以前、北海道の山中でテント泊してたとき、おなじテン場(てんば、と読むんですよ)でいっしょだったひとたちと話してたら、「だれそれは、日高を縦走すんのに水10キロ持って上がったらしい」っつーて大笑いしたことがあった。

みんなで「10キロはねーだろ、そりゃやりすぎだろ、ありえんわ。ぜんぶで30キロ上げるんかよっ?!」ってバカ笑いしてた。

まあね、私は30キロまでかついだことはさすがにないけど、夏山では20キロはみなさんふつうに持ち上げるよね。それを背負って黙々と歩を進める。ひたすら一歩一歩確実に積み上げていく。それを丸一日つづければ、たいてい稜線までたどりつける。

というゲームが大好きだったのよね、むかしは。そんなんを八泊九日とかやりよりましてん。


▼さて、昨日のピアノレッスンでたいそうご指導いただきまして、今日はツェルニー40番の6番を粛々と練習していた。
これの後半、右手のフォームが非常によろしくない。なので、右手だけ太極拳みたいにじわじわ慎重に練習してみる。

手首を反時計回りに、そう、低気圧か台風とおなじ回りかたで、必要最小限回転させる。手首の回転でおぎないきれない箇所だけ、肘の回転を加える。指の方向、接地面も各音で異なってくる。

右手だけまるでべつの生きものを観察しているみたいに、ひたすらじわじわ練習しつづける。「最適最短ルートはどういうラインを描くのか?」を考えながら、ただただ練習する。

ってのを20回やったら、え? 1時間20分たってた。えーっ?! 曲の半分片手練習して、それもぜんぜんテンポ上げられないでこんなにかかるのっ?!


で、思い出したんだよね、日高山脈のことをさ。

日高の稜線に水10キロ持ち上げるぐらい根気いるかねえって思ったわ。

どっちもおもしろいんだけどさ。なにせえっちらおっちらじりじりとしか上がらないから、ふう、たいへんっちゃーたいへん。

でも、やるけど。

これ、たぶん順番逆でもやるだろね。今生は「山→ピアノ」の順だったが、来世は「ピアノ→山」かもしれん。うわっ、日高山脈があとってのはキツすぎるのう。もしかして前世が「ピアノ→山」でコリて、今回は「山→ピアノ」になったのか?!

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