「よく知っている」と「好き」は似て非なるもの

ビリーフ(思い込み、信じ込み)をわんさかリセットしていってるのだが、そうするといろいろ変化があらわれる。そう、たしかにラクになる。無用ながんばりをしなくてよくなる。

でもなあ、個人的にびっくりしているのは「本当に好きなモノ」があらためてハッキリわかったことだ。

あのー、いくらビリーフまみれだからといって、ある程度の好き嫌いは自分でわかっていると思ってたんよ。山でしょ? 心理学でしょ? ピアノでしょ? クラシックでしょ?

しかしこのごろ急速に気づいたのは、「私の好みってすっごく狭いよね」ってこと。それが顕著にあらわれていたのは、旧居リフォームのときの壁紙選びだ。

壁紙はもともと好きでおます。なので、あちこちのショールームに通って約7,000枚見て、そのなかからいっちゃん好きなヤツをチョイスした。正確には、壁面に貼るヤツひとつと、天井に貼るヤツひとつね。


ちなみに、壁紙より先に選んだのはカーテンだ。そのカーテンに合う壁紙、カーペット、巾木を考えるのがめたくそおもしろかってん。とくに壁紙はものすげえ種類が豊富で、まあ楽しかったね。それをやりたくてリフォームしたようなもんだ。

けれども、ダントツに好きな壁紙は1枚しかなかった。飛びぬけて好きなヤツはそれしかなかったから迷わなかった。念のため、もう一度各ショールームを周って確認しても、やっぱりその1枚が格別にすばらしかった。もう、その壁紙をデザインしたひとに会いに行ってお礼を言いたいほど好きになってしまった。

つまり、だ。私は非常に「好みの幅が狭い」ヤツなんだよな。だって、7,000枚見て気に入ったのがたった1枚だよ。ほかはぜんぶボツだった。あ、ただし輸入物のありえないほど高額なのは選外にしていた。やっぱりインテリアってあっちのモンだから、海外の一流ブランドはさすがにみごとなデザインだ。でも、値段がぜんぜんムリ。

まあ、手が届く範囲でもかなり大量のなかから選ぶことができて、けれども、1枚しか好きになれなかったんだ。


そしたらね、結局いまになってわかったが、作曲家もひとりだけかもね。あたしゃ、バッハにしか反応しないのかもしれん。あないにぎょーさん作曲家おるのにね。子どものときから親がたくさんレコードかけていたのにね。

ビリーフリセットをやりつづけているうちに、ああそうか! 「よく聞いていた」と「好き」はちがうんだなあ!と気づいた。

「よく聞いていた」のは、ベートーベン、モーツァルト、オペラどっさりである。父ちゃんがしょっちゅうレコードをかけていた。ピアノソナタもまんべんなくかけてくれたから、ベートーベンもモーツァルトもぜんぶ聞き覚えがある。交響曲も協奏曲、バイオリン、弦楽四重奏とかも聞かされていた。

それで、「自分は、ベートーベン、モーツァルトが好き」と思い込んでいた。思い込みである。そりゃもう自分にとって「当たり前」だった。ソナタも交響曲もごろっと丸々アタマに入っているから「その状態って → 好きってことでしょ?」と信じて疑わなかった。実際子どものころ、レコードを聞くのはとても楽しかった。


しかし、それ、じつはビリーフだったといまごろ気がついた。

2年前にピアノのレッスンを再開して、バッハのインベンションとソナチネとかをやりはじめた。でも、練習するときヒドく片寄りがあって、いっつもバッハ偏重、ソナチネ手薄だった。それは、バッハがシンフォニアになったらますます重症化した。

という「自分の意志ではどうにもならない謎の行動」が2年つづいて、ここに来てハタと、「え? もしかしてあたいはバッハしかあかんかのう?」とようやく気づいた。

そうだよねえ。ベートーベン、モーツァルトはたしかにものすごく聞いてきたけど、ひええ、私、ほんとはそんなに好きじゃなかったんだ。あれは、親が好きだったんだ。


その親は、まったくバッハに興味がなかった。私はちゃちいラジオをイヤホンでこそこそ聞いて、ほう、バッハってええもんじゃと知ったのだ。

そしていま、親の価値観から徐々に解放されて、「本来の自分」にアクセスできるようになってくると、ああたしかに、私が本当に好きなのはバッハなんだとストンと腑に落ちた。

こないだレッスンのとき、私があまりにモーツァルトソナタがヘタクソだからか、ピアノの先生が「お勉強になりますからオペラのアリアを聴いてみましょう」とかけてくださった。

流れてきたモーツァルトのアリアは、父がよくレコードで聞いていたヤツだった。懐かしかった。


なのだが、以前とはちがって、私のなかにはどこかすうっと冷めて落ち着いた部分があって、そのあたりから「そう、きれいだね。そしてとてもよく知っている。でも、私が本当に好きな曲じゃないよね」という反応が返ってきた。

聴かせてくださった先生には申し訳ないが、私は、自分がモーツァルトをそれほど好きじゃないという気もちがかえってハッキリした。

私が好きなのはバッハなんだ。バッハをもっと聴きたいし、もっと弾いてみたい。

そういう思いがこみ上げてきて、ああそうなんだ、これがほんとの自分の気もちなんだとわかって、とてもすがすがしかった。

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