過去40年間を棒に振ったのはだれのせい?

私は、どうしても働きたくない。

高校を卒業してまもなく会社の研修がはじまって、その初日からイヤでしょうがなかったけど、その嫌悪感がいまのいままでつづいているんだよね。その会社はやや長く勤めていたが、とちゅうであまりにもイヤで出社できなくなり解雇された。

思い返すと、私の人生は「ぜったいに行きたくない会社へ行くか行かないか?」という葛藤の連続だった。

ほんと、それだけ。

そのことだけを悩みつづけて40年が過ぎた。


めずらしいな、こんな人生。

どこかでそれなりに順応したりあきらめたりしてもよさそうなのに、結局泣き叫びたいほどイヤなまま、もうじき59才になる。

ヘンだw

恋愛とか結婚とか子育てで悩んでいる人生のほうが、高級そうに見える。

あたしゃ、そこへ行きつく前の前の前でつまづいちゃって、とうとう「朝、会社へ行きたくない」だけでたそがれる。


両親は、私が人並みにいろいろできないとわかっていたからこそ、私が高校3年のときに、将来行く会社を選んでくれた。定年退職まで勤められるようにと見越したうえだった。

それ、いまにして思うと正しいよねえ。その会社へ行ったからこそ、年金もじゅうぶんにもらえる。まさかそうなるとは、18才のときにまったく予想できなかったが。

親というのは、心の深い部分で子どものしあわせをわかっているんだろうね。

さらに、子どもの能力をすごくよくわかっている。たぶん、子どもの実力以上のモノを期待したいはずなのに、いや、そこまで過剰に望んではいけない、この子の身の丈にあったラクな人生を送ったほうがしあわせになれると思って、会社を選んでくれた。

それ、合ってたわあ……


結局、私は虚勢を張りすぎていたのだ。

他人に対して見栄を張りすぎていたし、もとを正せば、自分に対しても見栄を張って、「等身大の自分」がわからなくなっていた。

いま、私は後悔している。

せっかく親が選んでくれた会社で、もっと冷静になって、落ち着いて、受け入れて、おだやかになって、自分が果たせる役割を考えてみればよかったと悔いている。

それでよかったのに。
それでしあわせになれたのに。


でも、私はずっと「この会社は私に合わない。きっとどこかにもっと私が能力を発揮できる仕事がある」と思い込んで、そこでの仕事にちっとも向き合わないで来た。

しかしほかの会社でもおなじだった。どこへ行ってもしっくり来なくて、すぐに辞めたくなった。「ここではないどこか」ばかり探していた。

そりゃもう本人に原因があるからだよねえ。

オノレが一円玉なのに、「いや、ちゃうねん。あたいは一万円札だから、一万円分の仕事させてえなっ?! 一円分の仕事なんかせえへんでっ!」ってやるからウマくいかないんだよね。

そうでした。
私は一円玉でした。
だのに「一万円札やで」って見栄張ってました。


その、さいしょに行ってた会社で、あるひとがふしぎそうに私にこう尋ねたことがある。
「あなたはいったいなにをめざしているの?」

当時は、日本三百名山完登をめざしていたので、私は「へ? 三百名山ですけど?」と即答したが、いやあ、すいませんねえ、一万円札をめざしていたわ。

やっぱり他人にもわかるんやねえ、虚勢張って、自分に与えられた仕事をバカにしているのがちゃんとわかるんだわ。

私が「こんなクソしょーもない一円の仕事なんか、だれがやるかい、アホンダラ」って思っているのが伝わっていた。ムキになってゴリゴリやってたらバレないかと思っていたのに、そうじゃなかった。バレバレだった。


それじゃあ、どこの会社でもウマくいかなくて当たり前だ。

で、どこ行っても使いモンにならなくて、ほんまにとうとう「一円分の仕事もデキねえな」とあきられて、今日まで来てしまった。

ようやく後ろを振り返ってみると、「自分で、自分の人生を棒に振ってしまった」と気がついたよ。

親も周りのひとたちも、ほんとうは私を歓迎してくれているのに、私だけが「おまえらの言うことをきいて機嫌直すもんかよっ!」と、その手を払いのけてきた。


最終的に気がついたのは、一円玉なのに一円分の仕事もできなくなってからだった。

老化で記憶力が低下して、どんな仕事もできなくなった。

「一円分もできなくなった」と自覚して蒼くなって、はじめて「ああ、だったら一円分できていたあのころに、ちゃんと一円分の仕事をしておけばよかった」とうなだれている。

もう「働きたくない」ではなくて、「働くことができない」事態になって、やっと「働いておけばよかった」と反省している。

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