このトシで「身体をあやつる快感」を望んでいいのか?

「動かない指とのお付き合い」という文字と、「指」のイラスト 音楽

ここ三日ほど、睡眠時間を約8時間/日確保できている。

いや、目は覚めるのよ、とちゅうで。

でも、ガバッと目が覚めても、しばらくシンボウして寝ていたら、また眠れる。

で、また目が覚めるが、しぶとく寝ていると寝付く。

ってな感じで、合計8時間寝られると、やっぱり日中おどろくほど元気だねえ。

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しかし、若いころは連続して寝られるのが当たり前で、こんな苦労をするとは思わなかった。

これも、昼間に運動するとか、食事の改善とかで、睡眠が変わる可能性があるから、またぼちぼち対策を立てよう。

とりあえずたっぷり寝ていると、ピアノをもりもり練習できる。

でも、あんまりやりすぎも手に負担がかかるので、4時間34分で終了。

足りねえっす。

まだ弾きてえ。

ということは、だ。

たぶん三十代に再開していたら、一日6時間ぐらいは練習できていただろうな。




三十代なんて、どっこも痛いとこなんかあらへん。

岩登りもしてたわ。

素手でガシガシ岩つかんで登るヤツ。手ェ、ボロボロ。

岩登りしていたとき、さすがにチラッと、ああ、こういうの、ピアノ弾くひとはぜったいやらんな、とか思った。

だって、岩の割れ目に手ェはさんで、体重かけるとかやったり。いってえ~。

でも、そのころ、自分が子どものときにピアノを弾いていたことを、すっかり忘れていた。

もちろん、再開することなんて、まったくアタマに浮かばない。

室内クライミングもやっとりましたねえ。

午前中金剛山に登って、物足りないから、午後はクライミングジム行って、人口壁登る。

よう登っとります。アホですな。




いまは、全エネルギーをピアノに注いでいる。

今日みたいに体調がいいと、ぶわあっとワケのわからんモンが出てきて、まあ、それをぜんぶ「弾く」に変換するのも過剰だから、暗譜に回した。

そしたら、バッハもモーツァルトも暗譜できちゃった。

これ、2曲とも1月17日からはじめたから、わっ、12日間で暗譜できたことになる。

人生最速。

いや、まだあやふやな暗譜で、つぎのレッスンで暗譜はぜんぜんムリだけど。

でも、練習では、もう楽譜見なくてすむ。譜めくりしないでいいからラク。

やればデキるじゃん。

まあ、そのぐらいの「イケイケドンドン」は、過去の山登りから推測すれば、じゅうぶん可能なんだから、暗譜は、これからもドンドンで行こう。




登山では、「身体を動かす愉悦」に浸っていた。

登りはじめて30分は、ゆるゆるペースで慣らす。

もっと飛ばしたくても、あえてお楽しみは後に取っておいて、抑えてゆったり登る。

30分経過したら、徐々に加速する。高速の合流みたいに、グッとアクセルを踏みこんでもだいじょうぶ。

次第に「万能感」が満ちあふれてくる。

自在に勝手に動いてくれる身体が、あまりに心地よくて、笑いがこみ上げてくる。

登山道の真ん中で、仁王立ちになって、あっはっはと大笑いしたくなる。

笑っているうちに、稜線に出る。

ぐるりと絶景を見渡して、また大笑いする。




そのうち、テン場(テントを張る場所)について、さっさとテントを張って、やあ、ウマく張れたと、また大笑い。

まあ、山登りって、天気さえよければ、ずっと大笑いしているだけのハナシ。ほんま。

これが、ピアノともなれば、そんなにヘラヘラできない、いや、してるか。

バッハは、すっかりなじんできて、今日はついケツ振って拍子取って、ヘラヘラ弾いている。

しかし、ケツ振るまでがタイヘンなんだよね、ピアノは。

ただ、全体的にわあっととりあえず弾けるようにするのは、以前より速くなったような気がする。

弾くテンポは、ぜんぜん速くならないけど。

「指を動かす愉悦」は、ゼロっす。

あこがれるんだけどねえ。

でも、それは、このトシで望むのもどうかと。




「バリバリ動く指」なんて、うっかり所望したら、それ、エゴじゃねえの? 欲かいてんじゃねえのって。

で、その先にあるのが「指の故障」だろうから、ちょっとやめておこうか。

なので、とりあえずちみちみ三輪車ていどのテンポでおとなしくしておく。

今日も右手が「ツェルニーの難所は弾きとうない」と言う。

だから私は「ああ、はいはい、じゃ、やめとき。先生には『右手がイヤがります』って言っとくから」と、右手の好きなようにさせた。

むかしは、岩をひっつかんで全身を支えられた「手」だけど、いまはもう、トシを取ったんだよね。

その「手」が「やりたくない」ということは、やらせないでおこう。

そのぐらいは、私もトシを取ったから、余裕があるんだよ。

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