別荘がヤバかったトンデモナイ理由│借金を返せなくなった恥ずかしい真相│その27

音楽

そびえ立つような急坂を目の前にして、私はなかばヤケクソ気味だった。

いや、おまいが物件探しとるんだろっ?!

そのために不動産屋さんも楽器店スタッフさんも来てるんだから、はよ登らんかいっ!

過去に照らすと、こんだけの激坂は、助走をつけて一気に登らんとあかん。

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私は覚悟を決めて、ギアを1速に入れ、めり込むほどアクセルを踏んづけた。

哀れな軽トラは、激坂をノロノロとにじり上がる。

運転席さあ、おおかたの体重が背もたれにズッシリのしかかって、もうロケットの発射かよっ?!みたいな体勢。

しかし、かろうじてズリ落ちることなく、目的の物件前まで、ようやっと到達した。

が、駐車場は、物件より一段下の細い通路の奥。

なので、こ、こげな急坂をバックでやや下り、そのまま左奥へ入れることになる。

もうさ、助手席にいてくれた楽器店スタッフさんに大感謝だよ。




スタッフさんが左見てくれなかったら、またまたドコカぶつける寸前だった。

ふぅぅぅぅぅ……

こりゃムリだっぺ。

こんなんとてもじゃないけど、毎日でけへんわ。

クルマ停めるだけで疲れ果てて、ふらふらになって物件にたどり着く。

しかし、中に入って仰天! う……キレイすぎるっ!

肝心の画像がなくてすいません。

井戸だのボットンだの、まったく無縁かのように、建物の中はとてもきれいだった。

これはステキと浮かれそうになった私に、楽器店スタッフさんがこう言った。

「ここは、静かすぎますね。

防音室はやっぱり必要です」

え? 隣と数十mほど離れてるのに?

スタッフさん「ここまで静寂だと、ものすごく音が響くんです」

すると不動産屋さんまで、

「別荘に来るヒトたちは、静けさを求めて来るんですからね」と言う。

ちょうどそのとき、遠くから「電車の踏切」の音が明瞭に聞こえた。




うわっ、十数キロ離れているふもとの電車なのに、カンカンと丸聞こえっ!

ああ、参ったなあ、こんなに響きわたるなんて!

どこに住むにしても防音室は必要なんだ、ふう。

それに、この物件までの激坂山道をしょっちゅう走る自信も、まったくなかった。

「隣から離れていればOK」ってワケじゃないと、つくづくわかったよ。

結局、この別荘物件は見送った。

じゃ、次行こう!

その次に目をつけたのは、住宅地からちょっと離れたところにポツンとある物件。

ネットで見つけたそのページの「備考」欄には、こう記載されていた。

「心理的瑕疵あり」

そう、いわゆる「事故物件」だ。

いいっすよ、べつにピアノが弾けたら。

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