べつに母から頼まれたわけでなく、「私自身」が母と同居したいと思ったので、そうしている。
もう90歳の母だから、あと20年、30年も生きられないだろう。
せめて、これからの余生ぐらいは、他人に気兼ねすることなく、自由に暮らせるようにしたいと思って、母との同居を決めた。
で、このところ、私こそが「エエカッコ」して、なにやら「母をヨイショする美談」を書いちょるが、ふふん、そないにエエことばっかやないで。
今日は、母の悪口を書こうっと。
いっちゃん困るのは「しゃべりすぎ」。
同居する前、母とほとんど毎日電話で話していた。
そのころから、あまりに長い電話のせいで、私は疲労困憊。
ま、さすがに母に対して「長いから疲れる」とは言えなかった。
母ちゃんはといえば、いつも電話を切ったあと、「通話時間」を確認していたらしい。
んで、母もちょっとは「春ちゃんに悪いかな?」と、そう、ちょびっとは思うらしい。
しかし、そんなことよりも、自分の満足度のほうが大事で、まあ、それでもいいんだけど、
毎回「通話時間」と「自分の満足度」をチェックしていたという。
母「私ねえ、3時間以上だと、とってもうれしいの」
私「げ、元気だね。
それで疲れなかった?」
「うん、ぜんぜん! もっと話したい!」
ふと、アタマをよぎったことだが、歌手のヒトたちって、長話がちっとも苦にならんのかもしれん。
基本的に「声を出している状態」が心地いいのかもしれんな。
あたくし、無言で指の体操するんだったら、べつに3時間以上でもよろしいんですが、声出すの、めっちゃしんどいねんけど。
ただ、母は、私に対してなにかリアクションを期待しているんじゃない。
あ、唯一「母をホメるリアクション」は切望しているので、私も気が向いたらホメる。
ホメ言葉以外は、「一所懸命聞いているフリ」でイケるので、「私がしゃべるしんどさ」はかなり減った。
でもねえ、サ高住のばあちゃんたちがどーしたこーしたっちゅー話を、繰り返し延々聞くのも、正直タイヘンっすよ。
同居したら、電話ほど長話にならないかも、とひそかに思っていたが、あっさり裏切られた。
母ちゃん「3時間つづけてしゃべると、やっと聞いてもらえたって感じるの」
すっげえパワーですな。
そのエネルギーを電気に変えたら、売りモンになるのに。
まあね、「何に対して、しあわせを感じるか?」は、ほんまヒトそれぞれ。
かつて私は、一日3時間以上ピアノを弾けたら、すっごく楽しかったし、それが4時間だったら、もっと満たされた。
ピアノの練習なんて、おんなじ箇所を何十回も繰り返しやるわけだから、母ちゃんの話とどっこいどっこい。
それでちっとも飽きないのが「好きなコト」だから、ま、結局「しゃべり」は母の大好きな趣味なわけだね。
モンダイは「聞き手が必要」ってとこ。
はあ、ふう、しんどい。
だれかたまに代わってくれい。