90歳の母は、しゃべりとアタマはしっかりしているものの、「あんよ」がおぼつかない。
当初私は「筋肉は何歳からでも鍛えられるはず」なーんて思い込んでいた。
でも、じっさいにいっしょに暮らしはじめたら、そもそも「鍛えようという意欲」そのものが消失しているとわかった。
そりゃね、お医者さんもケアマネさんも「機能訓練しましょう」というけどさ。
本人さんが「やりたくない」なら、ねえ。
どんなことでも、やる気は「がんばって出す」もんじゃない。
やる気は「自然に出るモノ」で、自然に出てきたら、そのときにやったらいいじゃん。
と、私は思うようになり、以来、母がとくに動かなくても気にしなくなった。
ただ、足の衰えは徐々に進んでいるかもね。
母の部屋は、トイレも洗面所もすぐ近くに配置されている。
なので、シルバーカーを押して3歩でOK、かつ、その近辺には5本の手すりを設置してある。
こういう対策は、ケアマネさんや介護用品スタッフさんがやってくれた。
で、これでおおむねいいんじゃない?と思っていた。
だが、今日母がトイレから出てきて、1本の手すりを両手で持っている最中、「転倒(?)」してしまったのだ。
正確には「転倒」じゃないかもね。
母は、両手でしっかり手すりを持っていたにもかかわらず、ヒザあたりが崩れるような感じで、そのままグズグズッと下に下がって、尻モチをついたのだ。
私は、たまたますぐそばで見ていたが、一瞬なにがどうなったのか、まったくわからず。
あとで思い返すと、まあ、たぶん足腰全般バランスが取れないし、ちょっとしか拍子でバランスが崩れると、あっという間に倒れてしまうようだ。
へええ、ほうう、手すりをしっかり持っていてもダメなんだ~
で、いちど床に座り込んでしまうと、自力ではぜったい立てないのよね。
私もまだ、「自力で立ち上がれない高齢者を介助する方法」は知らなかった。
なので、ヘタり込んでいる母ちゃんのそばで、やおらスマホで検索しはじめたが、
母「立てない、痛い、もう救急車呼んで~」
私「ホネ折れてるぐらい痛い?」
「ううん、ちがう、そこまでじゃない」
母は、圧迫骨折だの肋骨ヒビだの経験しているんで、そこらへんの区別はつく。
私「じゃあ、私がなんとかするから、ちょっと待って」
「でも、春ちゃん、手が痛いから持ち上げられないでしょ?
こんなの、男のヒトじゃないと、ムリよぉ~」
まあ、そりゃ力技でいきゃ、カンタンだろうけど、だからといって救急車呼ぶほどのことじゃない。
で、たしかに私は、手や腕の関節が痛くて力を入れられない。
母ちゃんを素手で持ち上げる気もサラサラない。
▼そこでふと思い出したのが、↓コレ。
そもそもコレは「背負子」みたいなモノでして、スーツケースとかを背負いたい場合とかに使用する。
私はスーツケースを持っていないが、重たい段ボールをクルマに運ぶときに、この背負子を使っていた。
ふふん、この肩に通す部分を、母の両肩に通し、そして反対側の長いベルトを、私が首にかけて、母を吊り上げるような体制を取ったらイケるんじゃねーの?
さて、母が座り込んでいる廊下で試すと、ウマくいかなかった。
しゃーないんで、母を介護ベッドのそばまで引きずって行く。
介護ベッド(最低位置にして)の長辺側の床に、母を後ろ向きに座らせて、両肩に短いベルトを固定。
私自身は、介護ベッドの上に立って、長いほうのベルトを肩から斜めにかける。
そういう体制にして、私の足元を支点にし、私自身の体重を後方にじゅうぶんかけてみたら、おっと、わりと軽い力で母の身体が持ち上がり、無事介護ベッドの上に移動できたよ。
母が痛がっている部分は、打ち身ぐらいなので、ロキソニンテープをベタベタ貼っておいた。
痛みが長引くようなら、クリニックへ行ったほうがいいけど、ま、とりあえずOK。
でもぉ、ユーチューブとかで「正しい介助」とか調べんとな。