ちょうど一週間まえから、「母がデキなくなったコト」が、やや増えた。
いずれも「足腰のおとろえ」によって、デキないコトが増える傾向だ。
間近で母を見ていると、「ヒトの生活とは、手を使わずに、二足歩行がデキてこそ、スムーズに営める」のだと、しみじみ実感する。
まだ母は、2分ほどなら、かろうじて立っていられる。
だが、それは両手をどこかにしっかりつかまっている場合のみ。
両手は「立ち姿勢の保持」でふさがっている。
なので結局、「立ったら最後、もう手はまったく使えません」という状態。
だから、ズボンの上げ下ろしや、ドアの開け閉めがデキなくなる。
いやまあ、座っている姿勢から、立ち上がるまでも、かなり時間がかかるし、母も疲労困憊。
一週間まえからデキなくなったのは、つぎのとおり。
・室内でのシルバーカー歩行
・トイレでのズボン等上げ下ろし
・ズボン等の着替え (パジャマ← → 部屋着)
ズボンの着替えは、やってみるとかなりメンドー。
ベッド柵につかまって立ってもらう → ズボンを半ば下ろす → ベッドに座ってもらう → スリッパを脱がす → 靴下が脱げないように注意しながら、ズボンだけ脱がす → 替えのズボンを半ばまで履かせる → スリッパを履かせる → 立ってもらう → ズボンを上げる
母は、素足が苦手で、いつもスリッパを履いているため、スリッパの脱ぎ履きが必要。
また、靴下を交換するのと、ズボンの着替えは、べつべつを好むので、靴下が脱げないように、ズボン着脱となるので、これもひと手間かかる。
ユーチューブを見ていると、「立ち座りなしでのズボン脱着」方法もある。
けれども、母は「いままで自分がやっていたとおりがいい」とのこと。
やっぱり慣れ親しんだ「ふつうの脱ぎ着」のほうが、そりゃいいだろうね。
で、「トイレと着替え」にかかる時間は、合計約30分だ。
ふう、けっこうかかるねえ。
これが朝と晩の2回。
日中のトイレは、4~5回ていどで、これはたいしたことない。
トイレ内は手すりが3ヵ所あるので、ほぼ自力で立ち座りできる。
介助は、ズボン等の上げ下ろしのみ。
室内移動は、キャスター付きイスでやっているが、これもすぐに終わる簡易作業。
さぁて、これからどうなるかな?
と思案していたら、昨夜、急に母が、
「明日からは、自分でトイレに行く。
着替えも自分でする」と言い出した。
私は仰天した。
そもそも今月に入ってから、朝のトイレの行き帰りで、2回もコロんでいるのに。
けれども、私はこう言った。
「自分で行ってみたいの?」
「そうなの。
これまでありがとうね。
でも、自分で行けるようになりたいから、明日から行くわね」
「そう。
もし怖かったら、ベルで呼んでね」
今朝、5時10分、母がシルバーカーを押して、トイレに向かう音が聞こえた。
私は、リビングにいたが、見に行くこともしなかった。
長い時間をかけて、母は自分の部屋に戻っていったようだった。
朝のしたくが一段落して、5時45分ごろ、母の部屋をのぞいたら、母はもう着替えを終えて、昼間の定位置の椅子に腰かけていた。
ほう。
しかし、疲れた表情を見せていた。
朝ごはんを食べているとき、母はポツンと、こう洩らした。
「寝ているときがいちばんラクだねえ」
もはや、立ち座りやトイレに行くことすら、苦行のようなのだろう。
でも、母が自力で、どこまでやりたいのか?
それは、母が決めることだから、私は見守りに徹しようと思う。
そう、「どこまで介助するのか?」は、母が決めることだった。