ここしばらく、睡眠9時間がちょうどいい、という状態だった。
だのに、今朝は8時間で目が覚めてしまって、イヤな予感がしたら、やっぱりダメな一日に終わる。
午前中は、いちおうピアノも弾けて、いつもそうだが、30分ピアノ → 30分雑用 → 30分ピアノ →30分雑用 → ……というサイクル。
ピアノ、ちっともウマくならないけど、弾いてたらおもしろい。
だったら、それでいいはずなのに、あたしゃ欲張りばあさんだから、そうすると、アレがどーのコレがどーのと気になって、いじくり回して、余計ダメになる。
午後になったら、充電切れみたいに動けなくなった。
ココでうっかり、吉村昭の長編なんか読みだしたら、数日丸つぶれになるので、いやっ、キンドル、開かないよっ!
代わりにユーチューブでバッハ。
ダラダラずっとバッハ。
ああ、めんどくせーと逃げているのが、母ちゃんへの手紙。
もー、胃袋ピアス作ってからさー、2週間たつのにさー、いつ退院すんのさー?
病院がうんともすんとも言ってこないから、母への手紙も、どう書いたらいいのかネタ切れ。
いや、しょーもないネタはあるんだが、そーゆーこと書いて、ウケをねらっていいかどうか。
いったい母ちゃんがどーなってんのか、教えてくれいっ!
そう、現状がわからんし、退院のメドが立たないんで、それも「ダメ」の原因だ。
夕方4時すぎになって、手紙をひねり出し、今日も洗濯物といっしょに病院へ持っていく。
といっても、いっちゃんしんどいのは母ちゃんなのにねえ。
こないだ、面会したとき、母ちゃん、私の手をにぎって、
「まあ、冷たい、かわいそうに」と、自分の手でつつんであっためてくれた。
こんなこと、してくれるの、世界でこのヒトだけだよなあ、としみじみ。
しみじみで、思い出した。
吉村昭が、三島由紀夫のなんとかのことを、「あの人が『しみじみ』って書いちゃいけないんじゃないか」って、エッセイ集「私の好きな悪い癖」で書いていて、私はひとりで大笑いしていた。
いや、三島由紀夫はちゃんと読んだことないけど。
母は読書好きだが、コレはウケないだろう。
でも、むかしから私は、母にこういうたぐいの話も、自分勝手に延々しゃべったりしていた。
それでも母は、興味がない話でも、一所懸命聞いてくれていた。
まあもう、そんなサービスせんでええから、とにかくウチに帰っておいで。
もっとわがままに好きにしてええんで、せっかく延びた命を、やりたいように使おうな。