「住む場所」には、あまり頓着せず、これまで転々としてきた。
そのときの思いつきで、あちこち引っ越してきた。
いちどだけ後悔したのは、ええと、5回前の賃貸マンションだったかな。
図書館があまりにも貧相すぎて、それだけはものすごくイヤだった。
まだそのころは、紙の本の字が読めていたんでね。
いまは、電子書籍キンドルで、字を拡大しないと読めないが。
むかしは、しょっちゅう図書館に行くのが楽しみだったから、ちっせえ図書館がショックだった。
なので、そのつぎに引っ越したとき、事前にまず図書館をちゃんと見に行って、その規模にじゅうぶん満足して、それから転居した。
それが、はじめて購入した中古マンションなんだよ、例の99万円で買ったヤツ。
もう売ったけど。
グランドピアノが欲しくなって、音出し可の賃貸マンションに引っ越して、99万円中古は売却。
せっかく買ったグランドピアノは、ローンが払えなくなって、これも売却。
う~ん、あたしゃなにをやっているんだか、自分でもよくわからない。
場当たり的に流されて、いまは、従来よりだいぶん「北上」して、母ちゃんと同居することになった。
7年間音信不通にしていた母に、私が電話をして、以来ほぼ毎日電話で話し込む。
当時母はサ高住に入所していたが、居心地が悪くて退所したいと言う。
で、いろいろ考えていたら、退所後、母がどうするか、こんなふうに変化した。
当時私が住んでいる賃貸マンションの、近くにあるサ高住に入所
↓
当時私が住んでいる地域の、賃貸マンションにふたりで同居
↓
母が住んでいる地域の、賃貸マンションにふたりで同居
そうなんだよ、さいしょは「母が南下する案」だったねえ。
しかし、どうも母の気が進まない様子だったので、最終的には「私が120km北上」した。
母は、これまで長年住んでいた土地より、7km南下した。
高齢の母はもう外出できなかったので、私が賃貸マンションを探し、
母の望みだった「北向きの大きな洋室」があるマンションに住むことになった。
でさ、私は、母ちゃん、7km南下するだけだから、うん、だいじょうぶだと確信していた。
もちろん同じ市内の転居だし、そんなに遠いわけじゃない。
うん、イケる、母ちゃんの好きな土地にはちがいない。
と思ったのが、大まちがいだった。
母は、引っ越してからずーっと、いまの土地にまったくなじめずにいるのだ。
もう外を歩けないので関係ないかと、私は甘く見ていたが、そうはいかない。
「土地柄」というのは、やっぱりしっくり来る来ないって、非常に重要だった。
私も、そうだ。
いまのマンションに永住するつもりがない。
母が天寿をまっとうするまでは、ココにいるか、もしくは、母がどうしてもイヤだったら、
元のサ高住近くの場所に、引っ越すかもしれない。
でも、私にとっては、すいません、縁起でもないけど、やっぱり仮住まいだねえ。
パソコンで、グーグルマップを開くと、デフォルトで「旧居あたりの地図」がバーンと表示される。
それを目にするたびに、あ、そうそう、何年後か何十年後かに、コッチに戻ろうって思ってしまう。
旧居のある付近の「土地柄」が好きなんだよね。
高い建物がなく、空が広く見えて、そういうのが好き。
母ちゃんは逆。
建物が密集して、お店が立ち並んでいる繁華街が大好き。
そういう「賑わい」のある土地が好きなんだよ。
だったら、いまのうちにもういちど、母がほんとに好きな土地へ戻ろうか。
退院したら、本気で検討してみよう。