「ゴミ屋敷」の住人に問い詰められて、答えに困った私│借金を返せなくなった恥ずかしい真相│その15

音楽

新居の裏にある家が「ゴミ屋敷」だ。

しかし、あいさつに伺わないといけない。

うがいだのテレビだの、丸聞こえの時点でアウトなんだが、う~ん、なんとかグランドピアノを弾けないものか?

その一心で、ゴミ屋敷のピンポンを押した。

お手数ですが、どれかをポチして → またお戻りください。とっても励みになります!

にほんブログ村 シニア日記ブログへ にほんブログ村 ライフスタイルブログ 一人暮らしへ にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ

ええねん、どないでも。

ゴミぐれえで怖気づいてピアノが弾けるかってんだ!

ややあって、出てきた住人は、私を見るなり、

「あ、あんたか!」と声を上げた。

うわあっ! びっくらこいたっ!

なんと、そのヒトは引っ越し当日にやってきた、あの中年女性だったのだ!

あの「あんた、アホや。大家にダマされて、高い家賃取られとるんや」と、私に言ったヒトだった。




女性はうっすら笑みを浮かべている。

すると、ウチの中からガサガサ音がして、もう一人男性があらわれた。

体格のいい若い男性だったので、私は一瞬ひるんだ。

しかし女性は「息子やねん」とうれしそうに言う。

あ、そっか、親子で住んでいるのか。

お母さんは四十代ぐらいか。息子さんは二十代だろう。

親子とわかると、ずいぶんホッとした。

お母さんは「ウチ、汚いやろ?」と言って、少し恥ずかしそうにした。

私は「いえいえ、これからどうかよろしくお願いします」と、粗品を差し出した。

すると、お母さんはますますうれしそうな笑顔になって、

「ありがと。

息子に言うてたんよ。こんどのヒトはええヒトみたいって。

なあ、前住んどったんは、ヘンなおっさんやったもんな」

と息子を振り返る。

息子さんは、無表情で立っているだけだ。

ついで、お母さんは私にこう尋ねた。

「あんた、あそこにひとりで住むんか?」

「あ、はい」と思わず答えてしまう。




「あんた、結婚してへんの?」

「あ、はい」

「なんで? ずっと?」

「はい」

「え? 1回もしてへんの?」

「はい」

「なんでっ?! オトコと付き合うたことないんっ?!」

お母さんは、ものすごく驚いたようすで、真剣に私を問い詰める。

ああ、このヒトの関心事は、結婚とか恋愛なんだろうなあと、私はふと思った。

うん、キレいな顔立ちのヒトで、いわゆる「男好きする女性」かもしれない。

どことなく人懐こい感じも、男性には魅力的かな。

そのヒトは「そんなら、あんた、寂しいな。

あたしは離婚したけど、いまは息子がおるからええねん。

息子いてよかったわ」と言う。

わ、すなおなヒトだなあ!

ええお母さんやないの?

しかし、お母さんの話は延々とつづいた。

昨日とおなじく、妙に話がつながらず、唐突に怒り出したり、笑い出したりと感情の起伏が激しい。




30分ほど経ったころに、私はお話をさえぎってお願いした。

「あのう、すみません、ピアノを弾くかもしれませんが、ご迷惑でしたら言ってくださいね」

お母さんは「そう、ぜんぜんかめへんよ、ええなあ、ピアノ聞かせてな」と、ニコニコしてくれた。

そこでお母さんもキリをつけてくれたので、私は自分の家に戻る。

ふう。

ゴミ屋敷の住人が、まさかあのヒトだったとは驚いた。

こう言っては失礼なんだけど、悪いヒトではない。

むしろいいヒト。

だが、とても話をしたいようで、う~ん、もしかすると私の家に来られるかもしれない。

私は人付き合いがすごく苦手だから、その点が心配だ。

肝心のピアノについては、快くOKしてくださったが、う~ん、それもなあ。

なにせ丸聞こえだから、やっぱり弾くのは、はばかられる。

あと、ちょっと引っかかったのは、お母さんのある一言だった。

お母さんいわく「息子、ええ子やけど、キレたらエラいことになる」らしい。

だ、だいじょうぶだろうか?

いや、それがだいじょうぶじゃなかったと、じきにわかる。

同じカテゴリーの、つづきはこちら
新居三日後│「謎の家」の男の怒鳴り声が響き渡る│借金を返せなくなった恥ずかしい真相│その16
ゴミ屋敷にお住まいの女性、もうひとつ気になることがあった。 それは「謎の家」の住人のことを、かなり口汚くののしっていたのだ。 血相変えて、目を吊り上げて、声を荒げてまくし立てていた。 お手数ですが、どれかをポチして → ま...
同じカテゴリーの、前回はこちら
無住のはずの「ゴミ屋敷」にヒトが住んでいた!│借金を返せなくなった恥ずかしい真相│その14
引っ越しの翌日、私は近所のあいさつ回りに出かけた。 新居のあたりは、住宅街からやや離れて、ポツンと孤立した一画。 私のウチの両隣は、廃屋と空き家で、それも気に入ってココに決めた。 しかし、ウチの裏手から「うがいの音」まで聞...
「借金を返せなくなった恥ずかしい真相│その1」はこちら
はじまりは「苦情の電話」│借金を返せなくなった恥ずかしい真相│その1
これからしばらく「恥ずかしい事情」を書いていこうと思う。 コトのはじまりは、約1年前。 2022年4月29日午後5時48分、電話が鳴った。 あ、スマホですな、鳴るのは。 見ると、不動産屋の名前だ。 お手数ですが...
タイトルとURLをコピーしました