「年寄りの繰り言」と思い込んでいたら、大まちがいだった

日々のあれこれ

高齢者にありがちな現象かもしれないが、母は「同じ話の繰り返し」が多い。

10年ほど前に比べると、その割合が増えてきている。

先日、ケーブルテレビ(J:COM TV)に加入して、テレビでユーチューブを見られるようにした。

ネコが大好きな母なので、すぐに「もちまる日記」のファンになり、ほぼ毎日もちちゃんの過去動画を見て楽しんでいる。

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私と話をするときも「おもち、かわいい! 今日は、下僕さんの両親がおもちに会いに来ていたのを見た」とよろこんでいる。

私も、もちまるの動画はたいていよく覚えているので、ああ、アレねといっしょに話がはずむ。

けれども、しばらくすると、母の話は「子どものころに飼っていたネコのエピソード」に移行する。

ここらへんの話は、かなり頻繁に出現する。

ここ1ヵ月のうちに20回以上は聞いているかな。




結局、「もちまる日記」のおかげでハッキリわかった。

たぶんトシを取ったためだと思われるが、新しい情報がそれなりに楽しくても、「過去の記憶」のほうが優先されるようで、その話をしたいのだ。

テレビでユーチューブを見る操作は、2回ほどかんたんに説明しただけなのに、母はもう自分でいろいろ見られるようになった。

そんな具合で、すぐに使いこなせるようになったにもかかわらず、「もっとユーチューブを探索したい」とは思わないんだね。

それよりも「過去の記憶」を反芻するほうが、母にとって自然で楽しいことなのだ。

って、やっと私は納得したんだよ。

で、ようやく「同じ話を聞くのがしんどい」という思いから解放された。

それよりも、何度でも話したくなるほど、「強いエネルギーが乗っかった出来事なんだな」とわかって、なんだか腑に落ちた。

ははあ、私だったら、いつもつねにバッハだけを何回でも練習したくなるけど、あ、そうか、それに匹敵するモノが、母にとっては「過去の記憶」なんだな。




とくにクラシックの曲なんて、何百年もおんなじ曲ばっかし、ま、クラシックに限らず、古典モノはおんなじ作品ばっかし取り上げられる。

それだけの価値があると認められているからね。

ああ、そういうのといっしょだな、母ちゃんの話は。

じゃあ、なるべく新鮮な気もちで、母のむかし話を聞こうかな?

これまでは、ついうっかり「また、その話かよ~」とウンザリしていた。

けど、そこまで繰り返し話したい出来事って、母ちゃんの「90年間の人生」のうち、とくべつに厳選された出来事なのだ。

と、気づいたので、これからはもっと興味をもって「同じ話」を聞く所存でございます。

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