「まさかこんなコトになると思わなかった」というのが、母の口癖。
その筆頭が「ほとんど歩けなくなった」こと。
まだ自力でトイレには行ける。
シルバーカーに頼って、わずかな歩幅でヨロヨロと10歩ほどは歩ける。
けれども、段差が非常にむずかしい。
たかだか数センチの高さでも越えられない。
というのも、ごく一瞬でも「片足で立つ」のが不可能だからだ。
結局、シルバーカー使用時に、すり足でかろうじて前進しているだけ。
なるほど、「歩く動作」というのは、まず「片足で立ってバランスを保てる」ってのが不可欠なんだろう。
じゃあ、もうこのまま足が衰えてしまってもしょうがないのか?
じつは、この時点でも、適切な機能訓練を行なえば、現状維持やある程度回復の見込みはあるらしい。
ケアマネさんも「やればやっただけの効果があります」と、力強く言われる。
けどねえ、母はもう「歩く気がしない」んです。
母「いったん座ったら、もう立ちたくないの。
ずーっと座ったままがいいの」
そうか。そうなのか。
理屈でいけば、このまま歩かないでいると、いずれ車椅子になってしまうが、「理屈より気もち」が優先。
「座ったまんまで歩かない状態」を良しとした。
ただし、いまのマンションは、とくに玄関周りに大きな段差が4ヵ所もある。
将来的には、母が通院のとき、その都度ヘルパーさんに来てもらって、段差乗り越えやクルマ乗り込みの介助が必要だろう。
これがメンドーっちゃメンドー。
私に腕力があって、母を安全に抱え上げられるのなら、なにも問題ない。
ところが、私自身も関節やらなんやら故障が多く、自分でシャワーヘッドも、片手では数秒ほどしか持てない。
ドライヤーを使うときは、床にあぐらをかいて座り、ヒザの上にドライヤーを上向きに置いて、アタマを動かして髪を乾かす。
箸ですら、連続して持つ時間を、意識して短縮している。
こういう自分の腕の状態も、ほんとは診察を受けたほうがいいものの、母を置いて外出できないので、とりあえず放ったらかし。
ただ、あまりにも腕の具合がよろしくないので、「母の身体を腕力で介助する」ことはあきらめた。
まあ、母の歩行が今後どうなるかは、まだわからないことなので保留。
今日、あらたに「母にデキないこと」が判明した。
「足の爪切り」だ。
もう自分ではデキなくなったので、私が切ってみた。
けど、床に這いつくばって、足の爪を切るのってタイヘンすぎ。
じきに腰が痛くなったので、そうだ、介護ベッドに座ってもらい、ベッドの高さを上げてみようか?
介護ベッドは、スイッチを押せば、電動で高さを変えられる。
やってみたら、マットの高さを65センチまで上げられて、ベッドに座っていた母ちゃんは、まるで鳥が止まっているみたいになった。
ここまでベッドが高くなるとはびっくり仰天!
おかげで、母の足をイスの上に置いて、ラクに爪を切る態勢に。
しかし、こんどは部屋の照明が暗すぎて、爪がよく見えない。私も老眼だし。
なので、母の足元を照らす↓LEDランタンも投入。
母の足の爪は、高齢のせいか、親指は巻き爪になっているし、ぶ厚く肥厚している爪もあり、なかなか切れずに苦労する。
いちおうシャワーの直後、まだ入浴介助ヘルパーさんがいるときから開始したが、長時間かかる。
結局、爪切りではダメで、爪やすりで根気よく削るのがいっちゃん安全とわかり、ひたすら黙々と削ること1時間、ようやくそれなりの長さに整った。
初回だし慣れていないので、エラく苦労したし、自分の手に対するダメージもヒドかった。
が、これからは月イチ程度、削ってみよう。
まあ、これも介護のひとつ、ちょっとだけ勉強になった。