母の部屋へ入って、びっくり仰天!
なんと母が、ベッドの上で、斜め仰向けになり、かろうじて上半身を乗り上げている。
だが、腰から下はベッドに上がりきれず、足をやわやわバタつかせている状態。
うげえっ、まるで殺虫剤ブッかけたあとのゴキブリみてえだっ!
私はあわててゴキブリ、じゃねえ、母に飛びつき、うんしょっ!と、腰から下をベッドの上にズリあげた。
ふう。
介護ベッドは電動で昇降できる。
床から20センチまで下げられるけど、本体の上にマットがあり、じっさいは床から30センチになってしまう。
たかだか30センチのベッドに上がれないなんて、健常者だったら、なんのことかサッパリわからんはず。
でもなあ、いったんコロぶとぜんぜん立ち上がれない高齢者はね、30センチのベッドに寝るなんて不可能なんすよ。
「高さ30センチのベッド」へ移動するためには、なんらかの形で「お尻を30センチ高まで持ち上げる」必要があるのだ。
だから、私の血圧が上がってきて、力が出るようになったら、ふたたび「キャリーバッグ背負いベルト」で、母を持ち上げるつもりだった。
ところが、驚いたことに、母は自力で半分まで、ベッドに乗り上げていた。
うわあ、ヤるなあ、母ちゃん、すげえなあ。
たぶん、両腕でベッド柵をつかみ、あるていど足を踏んばって、アタマの重さでベッド上に移動できたんだろう。
その時点で、腰がなかばベッドに引っかかっているていど。
これをベッド上にずらすには、私がやってもほとんど力が不要。
なるほどねえ、母本人でもデキることは、まだまだあるんだねえ。
前回、前々回とも、私がすべて手順を考えて、それを母に指示してやってもらった。
だが、今回は早朝で、私の血圧が低すぎて動けない。
しかたなく「母を放置」していたんだけど、母いわく、
「オムツなんてぜったいイヤだったし、
今日はぜったい予防接種に行きたかったから、必死でがんばった」
スゴい、スゴい、よくやったねえ。
それに「ベッドに座る」のではなく、母がめざした「ベッドに寝ころがる」というのは、上半身の重さを、移動の力に変えられる。
こっちのほうが、優秀、優秀!
私は、母のことを「カラダの使いかたがヘタクソ」なーんて思っていたけど、すいません、反省しちょります。
もっと母ちゃんを信頼せんとなあ。
まあ、ただし、こういうのは骨折などがないからデキたわけで。
今回も、さいわい打ち身だけらしい。
痛みは、お尻と右足。
右足は、歩くとそのたびに痛いらしい。
しかし、どの痛みもじっとしていたらどうもなく、腫れもない。
やれやれ、毎月コロんでいるが、どれも骨折にいたらなくてよかった。
そして、トイレも間に合い、大惨事はまぬかれたのだった。
インフル予防接種も連れて行ったぜ、ひいっ!