それでなくても、母は9月から食欲がない。
さかのぼると、去年春ぐらいから、ずーっと食が細いらしい。
ちょうど背骨の圧迫骨折で、3ヵ月寝たきりになったのち、味覚も変わり、食べられないモノが急に増えたという。
89歳にもなって骨折すると、ヒドいダメージを受ける。
よくもまあ、ふたたび自力で、ヨロヨロとでも歩けるようになったもんだ。
ただし、その足もいまではどんどんおとろえてきている。
そして、食欲不振もぶり返したまんまだ。
昨日、母が食べたモノはつぎのとおり。
・朝食 ミニクロワッサン1個 ヨーグルト小1個
・昼食 なし
・夕食 玉子豆腐1個
ほんとは夜も「なにも食べたくない」と言っていたが、がんばって玉子豆腐を食べてくれた。
一昨日以前は、少量ながらも日に三度食べていた。
野菜やゆで玉子も、ごく少しなら食べられていた。
けれども、昨日内科クリニックで「慢性腎臓病」とはっきりわかって以来、ガクンと食べられなくなる。
「あんなに悪いとわかって、それがコタえてねえ」と、母は弱々しく言った。
うん、そうだよね。
私も、けっこうコタえているよ。
いやいや、私自身は、痛くもカユくもないんだから、コタえるのは意味ないけど。
さて、ウチのなかでも、シルバーカー歩行が、急速にあやうくなった。
シルバーカーを使っているとき、私は母の左側で、ガッチリ母の左腕を確保しているが、しばしばよろめいて、全体重が私にかかってくると判明。
ヤベえよな。
ヘタすると、私もいっしょにコケそうだ。
なので、母が持っている「キャスター付きイス」を、室内移動に使ってみた。
母が移動するのは「ベッド、トイレ、洗面所、常用イス」の4ヵ所。
いままでは、この移動をシルバーカーでやっていたが、それをやめて「キャスター付きイス」に替え、私が移動させる。
そしたら、わっ、まるで簡易車椅子みたいに、ラクに動かせる!
従来、シルバーカーでの歩行は、ナメクジみたいに遅々として進まなかったのに、キャスター付きイスは、ころころスーッと移動できる。
私も非常にラクだし、母も歩かないでいいので、もちろんラクで超安全だ。
しかしねえ。
コレ、ずっとやっていたら、ますます歩けなくなるよな。
それは、よくわかっている。
そして、ウチのなかで歩けなくなったら、当たり前だけど、外でも歩けなくなる。
母は「クリニックに行くときは、がんばって歩く。
介護タクシーは、高いからぜったい使わない」と言う。
う~ん。
私は、ひとつの提案として、
「しばらく歩かないでいると、外を歩くのはかなりむずかしくなるよ。
安全を考えて、ケアマネさんに介護タクシーのこと、相談してみたいけど」と話す。
しかし、母はOKしなかった。
それで、もう私は無理強いしないことにした。
「歩くか、歩かないか」は、母の自由だもんね。
どんどん病気が増えてきて、心身ともに苦しくなっているのは、母本人。
だのに、それに追い打ちをかけるかのように、私が、
「ウチでは歩け、ソトでは歩くな」などと、コントロールしたら、母は余計にしんどくなる。
じゃなくて、母が好きなようにしたらいいな。
なんでもね。