私は来月が誕生月だからね。
もうじき丸62年間生きている勘定になるけど、
はあ、今日ほど激烈に「ラク」になったのは、生まれてはじめてじゃい。
そうだな、インターネットができて、そりゃま、いろんなコトが「ラク」になった。
しかし、いやいや、ネットの10倍ぐらい「ラク」過ぎて、もはや呆然としてしまった。
ソレ、なに?
ええと、「訪問診療」でございます!
むかしで言うところの「往診」じゃのう。
だけど、いまの時代は「訪問診療」といって、定期的にお医者さんが自宅まで来てくれて、患者さんを診てくれるのだ。
で、去年12月、たまたま私は、近所のコンビニ近くで、ある内科クリニックの看板に気がついた。
「訪問診察します」と書かれていた。
ウチに帰って、そのクリニックのホームページを見ると、たしかに在宅医療のことがくわしく載っていた。
とりあえず電話をかけたら、受付のヒトが「あとで、こちらから連絡します」とのこと。
その日の午後、電話がかかってきて、出てみたら院長先生だった。ひええ。
私「いま、母は入院中で、1月には胃ろう造設します」
先生「う~ん、ちょっと30人ほどかかえているんですが……
でも、お困りでしょう?
胃ろうするんやったら、訪問診療の対象ですから、退院決まったら連絡ください」
いきなりこっちから電話しただけなのに、なんとご親切な!
結局、このMクリニックに訪問診療していただくことになった。
そういうことで、これまで入院していたK総合病院も、ケアマネさんも、事前に動いていただき、早くも今日、はじめて訪問診療を受けることができた。
午後2時15分、先生がお越しになられた。
先生はすぐに母の部屋に入り、ただちに診察をはじめられた。
聴診、触診、血圧、酸素をしらべられ、母にもやさしく話しかけてくださった。
私から先生にお願いしたのは、
「入院中、栄養剤は食品扱いの『アイソカル』でしたが、もし可能でしたら医薬品で……」
先生「はい、じゃ『ラコール』処方しますから、娘さんが月曜日にでも取りに来てください」
わ、保険の対象になるから、助かる!
先生は10分間でお帰りになった。
ふう、外来クリニックとまったくおんなじ感じで、びっくり仰天。
えーっ?! こ、これまでの苦労はなんなんっ?!
ずっとさあ、母をクリニックへ通院するのに、クルマ乗せるだけでも20分かかり、
それに、転居まえのクリニックだから、30分クルマを走らせて、しかも診察まで1時間待って、
診察後、こんどは薬局行って、また待たされて、そいで30分かけて帰り、20分かけて母を部屋に入れる。
だいたい4時間はかかって、そりゃもう、母も私も疲労困憊。
だのに、自分のウチにお医者さんが来てくれて、たった10分で終わりって?!
はあああ、これだけ一挙にラクになった経験は、生まれてはじめてだよ。
ちなみに、Mクリニックは、ウチからたったの700m、薬局は隣。
なので、クスリや栄養剤を取りに行くのは、クルマで3分。
そして、訪問診療は2週間に1度来ていただけるとのこと。
急変したときも、すぐ来てくださるそうだ。
ああ、これほどの幸運もめぐってくるんだねえ。
母も「おだやかでやさしい先生でよかったわ。
ほんとうにありがたい、うれしい」とよろこんでいた。
んで、母ちゃん、
「春ちゃんが言ってた栄養剤でしょ? ラコール」
「あ、そうそう、ラコールね。
わ、よく覚えていたね」
「ふふ、ワコールみたいって思ってたの」
「ええっ?! ワコールかあ笑
もうワコールは関係なくて、これからはラコールだなあ」
母ちゃんも声を上げて笑っていたよ。