3ヵ月ほど前から萩尾望都をネチッこく読んでいる。萩尾さんの作品には、ドイツのギムナジウムを舞台にしたものがいくつかあるが、これは萩尾さんがヘルマン・ヘッセを愛読していたからだそうだ。それで、ヘッセがちょっと気になっていた。
ちょうど合唱では、先生がふたりともドイツに傾倒していて、ひとりは「ボク、前世はドイツ人だと思います」とのたまうし、もうひとりは「ラテン語もドイツ読みだとうれしいですね」と喜色満面だ。いや、私はドイツ語もラテン語もまったくはじめてでなんのことかさっぱりわからんのやけどね。でも、音楽は純粋ドイツ系が大好き。バッハ、ベートーベン、シューベルトとか。
なぜかドイツブーム到来なので、これはやっぱりそろそろヘッセを読めっちゅうことかと、生まれてはじめてヘッセを読んでみた。アマゾンのキンドルをぽちっとしただけ。キンドルは字を拡大できるので年寄りには向いている。もう文庫本とか字が小さすぎて読む気が起きない。
とりあえず「車輪の下」を読みはじめたが、おもろいやんけ! こんな文学書は難解じゃねーの?とずっと敬遠していたが、いやいや読みやすいしわかりやすい。萩尾さんのマンガを思い浮かべるとますますぴったり来る。
「車輪の下」のあらすじってたぶんみんなが知っていると思うけど、優秀で多感な少年が学校や社会の重圧に耐えかねて落ちこぼれていくっつーアレね。ああ、そういう小説なんやってことはずっと昔から知っていたけど、ありゃりゃ、ちゃんと読んでみたらすごくおもしろいわ。
それで、まだ19%しか読んでいない。キンドルはパーセントが表示される。ハンス少年は神学校の試験に無事合格して、入学前の休暇を楽しんでいるところ。その夏休みを楽しむ描写を読んでいたら……なんかね、魂が抜けてしもうた。
川での釣りの様子や自然のうつくしさの描きかたがすごくて、なんだか草いきれの匂いまでただよってきそうで、そういうのを読んでいたら、無性に山や川が懐かしくてたまらなくなってきた。ハンスは、受験勉強から解放されて自然のなかで活き活きと自分を取り戻しているのだけど、単純に私もそうなりたいわと思ったのだ。
私も疲れてるんだ。もう4ヵ月以上も働いているし。その前に13年も引きこもっていたのもけっこう疲れたし、さらにその前の勤めもしんどかったし。
そうしたら「ああ、だったら6月から働くのは、もうヤメにしよう」とふと思った。