いまの母の悩みは「眠くてしょうがない」ということ。
母「毎日眠くて眠くて。
ちゃんと起きていたいのに、いつの間にか寝ちゃうの」
私「眠かったら寝てたらええやん?」
母「ヤだよう~
まえみたいに、おイスに座ってテレビ見たいよう~」
私「でも、寝てるほうがラクなんでしょ?」
「う……それはそうだけど。
なんでこんなに眠いのかしら?」
「きっと『老衰』なんだよ」と、思わず身もフタもない回答をする私。
けど、母ちゃん、
「そうだね。もうお迎え、来て欲しいよ」
「え? ほんま?」
「うん、そう。
もうしんどいし、つまんない」
たしかに、つまんないよなあ。
以前は、テレビやラジオ、読書で、あるていど楽しめていたのに、いまはしんどくてなにもデキない。
私との会話は、とても楽しそうだが、いまはすでに眠気が差してくると、寝たくなってしまう。
たぶん、ほんと老衰で、身体が寝ることを必要としているんだと思うけど。
そしたら昨日、訪問診療で来られたお医者さんに、
「先生、毎日眠くてたまらないんですが、これは年齢的なものでしょうか?」
と母が質問していた。
先生は、ちょっと間を置いて、
「そんなにむずかしく考えずに、眠かったら寝ていていいんですよ」とおっしゃった。
そして、いつものように診察してくださり、
「退院してから順調ですね。とてもいいですよ」と笑顔で言われて帰られた。
そうそう、シロウト目にも、それなりに元気そうで、起きているときはキゲンいいもんね。
でも、母ちゃんは不満なんだ。
まえは、日中ずっと起きていられたのに、いまはそうじゃないのが腑に落ちないんだ。
母をよくよく観察していたら、朝がいちばん眠そう。
話をしていても、フッと眠気が来てしまう。
胃ろう注入は、2時間ほどかかるので、とちゅうでくーくー寝てしまう。
ひと眠りしたら、スッキリするようで、ぱっちり目を開けて、
「トイレ行くわ、春たん、春たん、春たんたんたん♪」と大きな声を上げる。
30~40分かけて、トイレ往復が終わると、またすーすー寝はじめる。
そういう様子を見ていると、う~ん、やっぱり身体全体が衰えてきていて、連続稼働がむずかしそうだ。
けれども、いまのところは、疲れて睡眠を取ると、あるていど回復して、またしばらくは起きていられる。
眠っているうちに、胃ろうで摂った完全栄養により、全身の細胞で粛々と回復作業が進められているかのよう。
さあ、このサイクルが今後どうなるか?
できるだけしんどくない状態で、長生き可能だろうか?