北海道放浪69日目|まさかの地震、洞爺湖遊覧船のあとは水、食料、ねぐら探し

3:08 スマホが緊急地震速報で鳴りだしたので目を覚ます。見たら震度6の予報で、すぐにユサユサッときたけれど、強風で車体がゆれたときぐらいのユレでたいしたことはなかった。

しかし、ここ道の駅「とようら」は高台にあるとはいえ、海のすぐ近くだ。
寝ぼけたアタマでどうしようか考えていると、車中泊をしていたクルマのうち1台は早々と出ていった。すごいなあ。

その後、津波のおそれはないとわかった。それでも、もう2台のクルマはちゃんと移動していった。
私はトイレに行って寝なおすことにしたら、自動ドアも開かないし電気もついていない。ああ、停電だなあと思いつつまた眠ってしまった。

7:45にやっと起きたら、まだ停電していて洗面所の水も出ない。あれえ、ヘンだなあ?
そういえばナビでテレビを見られるかもしれないと思いつき、一所懸命説明書を読んで、はじめてテレビを付けてみた。

ニュースで北海道の地震を報道していて仰天。さいわい豊浦町は震度3だったので小さなユレで済んだようだ。
道の駅の駐車場は、すでに車中泊のクルマがほとんどいなかったので、とりあえずすぐ近くのセブン-イレブンへ行ってみる。

暗い店内でも営業していて、おおぜいのひとが詰めかけ食料や飲料を買いもとめていた。しかし、そのとき私はまだピンと来なくて、カップ麺を数個と麦茶1.5リットルペットくらいしか買わなかった。

ただガソリンが半分しかなかったので、まあ入れておこうと思って、これもすぐ近くのガソリンスタンドで満タンにしてもらった。停電でも営業しているのでおどろいたら、自家発電設備があるから大丈夫とのことだった。

さて、いつまでも道の駅「とようら」にいてもしょうがないので、とりあえず洞爺湖に行ってみることにした。
運転しながら、有珠山ロープウェイに乗りたいなあと思ったが、そんな、JRすら全線運休なのにロープウェイなんか動くわけない。

しかし、洞爺湖に行くまでにはいくつも長いトンネルをくぐるのだが、トンネル内はちゃんと照明が明るく付いていた。信号はすべて停電しているのに、トンネルはべつの電源を供給しているとはすごい。

洞爺湖の公園に来たら、湖はなにごともなかったかのように晴れ晴れとして青い水をたたえている。

さらに、なにごともなかったかのように遊覧船が動いているので、ホイホイ乗り込む。

船内は大入り満員。ひとりの中年女性と話をしたが、ホテルでも停電で困ったらしい。けれども、朝食はりっぱに品数も豊富に準備してくれたそうで、たぶん大きなホテルだと思うけどさすがだなあ。

遊覧船は阿寒湖でも楽しかったが、今日は天気もいいしとてもすばらしい。有珠山も昭和新山もよく見える。

洞爺湖に浮かぶ島が、遊覧船ではまぢかに迫ってくるのですごい。

海鳥も飛びかっている。

ここの湖も濃いブルー。やっぱり遊覧船に乗ると、岸辺で見るよりいっそう湖のよさがわかる。

楽しい遊覧船は1時間弱でおしまい。
クルマにもどってテレビを付けたら、停電復旧には1週間かかるかもしれないと言っている。断水している地域もある。

さすがに危機感をおぼえて、近くのビジターセンターへ行ってみた。

トイレも使えないが、外の水道は自由に使ってくださいとのこと。コンビニで水はとっくに売り切れていたので、ここでポリタンクに5リットルの水をもらった。ポリタンクはもともとクルマになんとなく積んであったもので、まあ持っておいてよかった。

それで、今夜はどこで寝よう? やはりヒトが多いところのほうがよさそうなので、またニセコ周辺かな?
めぼしい道の駅に電話をかけてもつながらない。電話機そのものが電気がないと使えないからだろう。

洞爺湖近くにある「レイクヒルファーム」。停電で休業との張り紙。こんなにすてきな店なのに残念。

休業でも、草原にはヤギが一匹。ウトウトしていてコヤツも電力不足だ。

それでも、このあたり一帯は羊蹄山のビューポイントだ。ぶあつい雲をかぶっているけれども、北海道らしい雄大なながめ。

停電や断水で落ち着かないが、これは「サイロ展望台」からの洞爺湖。もう紅葉がはじまっていて色づきまで楽しめる。

そして、道の駅「とうや湖」に到着。ここも小さい道の駅だが、

自家発電機でレストランを営業していた。すごいなあ。ここはトイレも使用できた。

しかし「とうや湖」は街からかなり離れているので、車中泊のクルマはほとんどいないと思われる。

なので、つぎの道の駅「230ルスツ」へ行ってみたが、

ここは全館休業のうえ、トイレまで使用禁止だ。

走っているうちにわかってきたが、営業しているコンビニはセブン-イレブンだけのようだ。セブイレのレジは非常時にはバッテリーで稼働するようになっているらしい。
セブイレが出てくるたびに食料と飲料を買い足していく。しかしカセットボンベがみごとに売り切れだ。手元にはあと1本とちょっとしかない。

さらにつぎなる道の駅「真狩フラワーセンター」。

ここのトイレは使えるが夜は真っ暗だ。う~ん、ヘッドランプも持ってくるべきだった。
それに洗面所の水は止まっている。どこもそうなんだけれど、センサー式の自動蛇口は停電すると水も出なくなってしまう。

「真狩フラワーセンター」のすぐ横にもセブン-イレブンがあって、また買い物がてらレジのおねえさんと話していたら、「まだこの辺だから食料も残っているんですよ。札幌なんかなにもないそうです」という。ガソリンも長蛇の列らしい。

ちょっと不安になってきたが、それならなおさらデカい道の駅に行きたい。そうだ、きっと道の駅「ニセコビュープラザ」なら大丈夫だ! 一昨日も台風で避難したよね。

で、道の駅「ニセコビュープラザ」までやってきた。ふう。

ここの洗面所もセンサー式で水が出ないのだが、外に水道があるのでちゃんと手を洗える。

大きな道の駅なので、すでに自家発電機を何台も稼働していて、おどろいたことに冷蔵庫が動いていた。コンビニも自販機も冷蔵機能はすべて停止していただけにびっくり。

冷たいヨーグルトを飲めるなんてありがたいなあ。

道の駅の横には、ガソリンスタンド待ちのクルマの列が数百メートルつづいている。

でも、どーんとそびえている羊蹄山を見ると、そんな非常事態をきれいさっぱり忘れてしまう。

今日一日頂上の雲が取れなかったのだが、その雲のぐあいをながめるのもけっこう楽しい。

ふと気づいたら、道の駅のすぐそばで一軒のラーメン店が営業していた!

食べられるうちに食べておこう。ゴマ塩ラーメン。濃厚なスープが今日のせわしさをねぎらってくれる。

ラーメンを食べ終わってひと息ついたころ、夕日に赤くなりながらとうとう雲が取れた羊蹄山。

自家発電で、トイレの電気も外のあかりもまかなってくれる。

ところが……夕方6時半ごろ、とつぜん街灯が明るくかがやいた。

おお、電気が復旧したのだ。駐車場のあちこちから歓声があがる。
電気があるとは、なんと心強いことなんだろう。
もうトイレにいってもすみずみまで明るいし、便座はあたたかいし洗浄もできる。洗面所では当たり前のように水がいくらでも使える。

いつも災害が起こるたびに、ライフラインのありがたみを痛感するけれども、今回は旅先でのできごとだけに、電気と水が使えるようになってこれほどホッとしたのははじめてだ。

駐車場には車中泊のクルマが30台ほど停まっている。やれやれ、落ち着いて寝られそうだ。

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