不動産投資セミナーでスタッフに感動したのち、第一目標を富士山に決める

「不動産投資セミナー」へ行ってみた。
楽天関連からお誘いのメールが来ていたので、勉強になるかな?と都会まで出向く。

広くてきれいな会場で丁重に迎えられる。クオカードや飲み物ももらえる。資料もたっぷり、DVDやマンガ解説の冊子まで配られる。

前半は女性講師の解説。とてもわかりやすいが、もう少し熱量がほしかったかな?
高額投資セミナーなんだから、心屋仁之助さん並みに熱いほうがエエと思うけど。

とはいえ、わかりやすいスライドでメリット・デメリットをきちんと伝えてくれて好感が持てる。

要は「投資用マンション」をローンで購入して、完済後は家賃収入によって豊かな老後が送れますよというもの。
ローンの返済は家賃収入でほぼまかなえる。そして家賃保証もしてくれるので、入居者が見つからないあいだでも困らないという。

でもまあ、投資だから不確定要素もどっさりある。
家賃保証だって2年ごとの見直しだ。だいたい下落していく。ローン金利は変動するから低金利はいまだけかもしれない。資産価値も下がるだろう。マンションだから地震天災は致命的だ。ローンは35年で組むが、そんなに長いあいだ管理会社は大丈夫か?

もちろんいい物件だったらうまく運用できるだろう。私もじっさいにそういう物件を京都でひとつ知っている。でもたぶん、うまくいく好物件はものすごく少ないはずだ。

さて、後半は出席者ひとりひとりに担当者がそばについて説明してくれる。
私のところに来たスタッフさんは気のよさそうな30代くらいの男性。すまんのお、完全に冷やかしで。

アンケート用紙には、自分の現状をそのまんま書いておいたので手間ははぶけた。無職、貯金なしで投資もヘチマもおまへん。
スタッフさんはじっとながめたあと、「持ち家なんですね?」と言った。

「そうです。じつは『投資用マンション』のなれの果てをものすごく安く買ったんです」
「ほう、おいくらですか?」
「99万円でした。バブルの末期に売り出された〇〇住建のワンルームマンションで、もとは2000万円だったそうです」
「そこまで安いのははじめて聞きました」
「でもたった16㎡しかありませんし、スラム化しつつあるので、それなりの物件ですよ」

投資用マンションを売る立場のひとに、「大失敗の投資用マンションを買った話」をするのもどうかと思ったが、ひとの良さそうな男性はにこにこ聞いていた。

たしかに安く買えた。駅から歩いて5分で便利だし、スーパーも近くに2軒ある。
でも、雰囲気がわびしい。大規模修繕もしたというのに、みすぼらしくてウラ寂しい。貧しそうなひとばかりがひっそり住んでいる。私もそのひとりだ。

しかしスタッフさんは「家賃がかからなくていいですね」と言ってくれる。
そして「これから将来不安はありませんか?」と訊かれた。

へ? 不安? そういえば不安になったことはないなあ。
山登りのトレーニングをどうすべえ?とか、キャンピングカーが欲しいとか、ノマドワーカーになりたいとか、ぎゃあ! ワシ、アタマおかしいわ!

前半の解説でも、月々〇〇万円を〇十年積み立てるといくらとか、老後に必要なお金〇千万円とか、およそ縁のないハナシばっかし聞かされたけど、そうなんや、世間一般のひとたちは「貯金」とかコチコチやっとるんよね。

「不安はとくにないですよ」と答えたけれど、スタッフさんはいろいろ質問を投げかけてくる。問われるままに、父が亡くなって母が一人暮らしをしていることとか話していたら、スタッフさんは「春子さんの場合は、不動産投資ではなくて、もっと短期で結果が出る投資のほうがいいですね」という。

「お母さまが貯金をされているんだったら、一部を投資信託とかに回してみるのはどうでしょうか? でないと、このままでは春子さんの老後がたいへんですよ」

うわあ、このひと、めっちゃエエひとやわ! 不動産投資のセールスじゃなくて、真剣に私の老後を心配してくれている。
せっかくなので、「そうですね、また母と相談してみますね」と言って最後にした。

帰り際にそのスタッフさんは、「あそこでコーヒーをサービスしていますからどうぞ」と教えてくれる。一文の得にならなくても、まことにすばらしい応対をしてくれた。
営業マンにはヒトが好きというひとが多いけれど、ホントそういうのがにじみ出ているひとだったねえ。

さて、帰るとちゅうにコワーキングスペースへ寄った。
合宿心理学セミナーから放浪に流れてしまったので、ぜんぜん勉強していない。コワーキングスペースも1ヵ月ぶりだ。

久しぶりに部屋に入ると、相変わらずキーボードをマシンガンのようにぶったたく戦士ががんばっていた。
思わずつられて、私も鼻の穴をふくらませて、ひゅんひゅん高速パソコンをいじくってみる。

だけどさあ、まずはいちばん重要なものはなにか?を決めないとね。
それは「山」だ。でも、もっと具体的に目標を決めたい。

そうだ、決めた!
「富士山に登ること」を第一目標にかかげよう!

はあい、あたし、富士山に登ったことがないんでえす。うふ(はぁと)
なぜなら「日本三百名山」のいちばん最後に富士山を登ろうと計画していて、その「日本三百名山完登」は挫折してしまったからだ。
この大計画もご多分にもれずケツを割っていて、たぶん270山ぐらいで挫折したんだよね。

ああ、三百名山はもうどーでもエエから、とにかく富士山は登るぞ!
老後? んなもん、知らんがな。

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