世間一般では「運動はいいことだ」とされている。
ウォーキングを日課にしていたら、たぶん「エラいですねえ」と言われるだろう。「よくない習慣ですね」とはまず言われないはずだ。
それでいけば「山登りが趣味なんです」と話したら、やっぱり「いいことですね」と言ってもらえそうだ。
山登りって自然のなかで長時間運動するから、どちらかというと好イメージを持たれる。
でも、私にとっての山登りは、ドロドロ執着していてそんなにさわやかなイメージじゃない。
なんか知らんけど、ワケのわからない衝動におそわれて登らずにいられないが、ヒザとの折り合いのつけかたに悩んだり、トシだからとアセッたり、いろんな思いが錯綜している。
それでも、歩きはじめて徐々に高度を上げて、視界がひらけたり日差しをぞんぶんに浴びたりしているうちに、その手の雑念は消えていく。
そうなることがわかっているから、とりあえず登るのだ。
▼「馬の背」にある道標。今日も雄岳に向かう。
▼雄岳山頂までは木製の階段が多い。ふう。
▼雄岳の頂上に着いた。2回目だからほんの少し慣れたかな。
▼神社の近くにひっそりと狛犬。
下りはじめると、昨日とおなじく長く感じた。やっぱり雌岳よりしんどい。
まだあるなあ、なかなか降りられないなあとため息をつきながら、おおぜいのヒトたちにどんどん追い越されつつ、ヨチヨチ下る。
やっと駐車場にもどり、クルマのなかに入ったら、くたびれてしばらく動けなかった。
クルマのいいところは、大きな声で独り言を言えることで、さんざん「ああ、しんど、やっと帰った帰った」とわめいていた。
べつにそんなに疲れたわけでもなく、いつものようにインスタントコーヒーにたっぷり砂糖をぶち込んで飲んだらケロリとして、つぎはスーパーに買い物に向かった。
これですべての用事が終了で、ウチに帰るとYouTube漬けになってしまった。
まあ、YouTubeも楽しいわけなんだが、せっかく2時間ほど運動したというのに、なんのやる気も出てこないのが残念だ。
ここらへんが、世間の評価と食いちがっているのだよ。
ふつうこれだけ運動したら、そのあとはスッキリしてもう少し前向きになれそうなもんだけど、私はそうならない。
なにがいけないんだろう?と考えていたが、そこにはやっぱり「自分の理想」があって、ソイツがどうもいけないようだ。
「理想」とはなにか? それは、もっとガシガシ登れるということだ。二上山程度なら往復50分ぐらいでサッと降りてくる。そんな理想が自分のなかに存在していて、その理想が「いま2時間以上かかっている自分」にダメ出ししていたのだ。
ふうん、またやっちまったね。また「ありのままの自分」を認めていなかったね。
なので、あらためて「ヘタレの自分」をそのまま受け入れることにした。そのままでいいじゃんかと思うことにした。
さらに、つい背伸びをしたくなる自分も許すことにした。
だって、山が大好きだからね。大好きなモノやヒトのまえではやっぱり自分をよく見せようとするもんだよ。
まあでも二上山は、だれが何分かけて登ってこようとそんなものはおかまいなく、だれをもじゅうぶん慈しんでくれている。
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