このあいだのはじめてのレッスンで、グランドピアノを弾いた。
大ショックだった。
な、な、なんちゅーか、とんでもない音が出る楽器なんだねえええええ。
なにが起こったのかワケがわからんようになってもうたわ。
めたくそに弾いている最中でも、これまで聴いたこともない音がグワングワン出るから、ビビリまくってしまった。
正直なところ、うへえ、ワシなんかがさわったらいかんモンやわあと恐怖に襲われちまった。
そして、ハノン1番の弾きかたを詳細に教えていただき、おそるおそるその通りにやってみたら、またまた大ショック。
ふわわわ~んと音が広がって、いったいコレはなにがどうなったんだっ?!
で、つくづく思ったけど、ホンモノの楽器ってスゴいねえ……
そういえば、むかし一瞬だけバイオリンを習ったことがあったけど、そんときも、先生が目の前で音階弾いただけで、あまりのスゴさに髪の毛が逆立ちそうになったわ。
あらためて、楽器って神聖なものなんだねえなんて思ったよ。
なんかね、神々しいわ。
ピアノでもバイオリンでも、曲じゃなくて、音ひとつ鳴らしてるだけで天上のうつくしさだ。
それで?
うう、なんかますます恐ろしくなってきたけど、ワシ、これからそういう領域に足を踏み入れるわけ?
まあね、二上山ももちろんすっごくきれいだし、北海道の自然もとびきりすばらしいけど、なんか音楽のうつくしさは次元がちがうなあ。
そういう自然のうつくしさも含めて、すべての美を「音」だけに凝縮してるみたいな感じ。
ピアノを一音鳴らしているだけでも、あまりのうつくしさに意識がぶっ飛ぶわ。べつのどこかに行っちまうよ。
ああそうだ、思い出した。
先月、カウンセラーO先生の個人カウンセリングを受けていたときも、先生はセラピーのときに音叉を鳴らしていた。
そう、あれといっしょだねえ。音を聞いているだけで意識が変成していくんだよね。
で、じっさいホントウにすっかり変わってしまった。
なんかありとあらゆるモノが輝いて見えるわ。はは、どうなっちゃったんだ、ワシ。
とうとう現世に戻って来られなくなった私は、そのまま会社に行くことは行っているけど、なんか仕事のことはどうでもよくなってしまった。
あんなに失敗を気にしてビクビクしていたのに、そんな心配は消えてしまった。
だから、淡々とごくふつうに仕事をしているだけ。
しかし、仕事をしていても「音」がチラチラする。アタマのなかで音楽がぶわわ~んと鳴りはじめる。
それでなくても集中力がない私は、はあ、困っとるわ。
これからいったい、あたいはどうなるの?