派遣会社も含めて10社ほど応募した。ほとんどが放置されてて、面接したあとの結果すらどこからも来ない。
そんななか、今日午前中にやっと1社から電話がかかってきた。ピヨピヨ商店っつーちっちゃい会社だ。しかしウチから近い。クルマで10分という至近距離にある。場所は非常によろしい。駐車スペースもあるらしい。
ピヨピヨ商店、ちょっと年配っぽいおばさまが「午後3時に面接きてください」という。なんか一方的によくしゃべるヒトだ。今日の電話で今日来てって会社もめずらしいけど、ワシはどこからも見放されてるから「はい、行きます」って答えた。
で、今日もパート先で相変わらず「干物中」だったけど、エラいさんに「面接行ってきます」「うん、がんばってきてください」と送り出されて、ウチ帰ってあわてて履歴書入力して、近所のコンビニでA3印刷して写真貼り付けて、そのままピヨピヨ商店へ向かった。
ピヨピヨなあ、ちょっと特殊な商店やから営業時間が長い。10:00から25:00までやってる。そのうちの17:00から25:00のシフトが欲しいんだとさ。
ワシにとってそういう時間帯は好都合だ。なぜなら昼間のうちにピアノを練習できるからね。
電話してくれたおばさまは、やっぱり話好きそうな女性やった。店舗の隅っこで面接開始。ワシが履歴書渡したら1分もしないうちに、「じゃあ、こんどの日曜日から来てください」
えっ?! なにそれ? もう決まったん?
おばさまはもう決めちゃったらしく、つぎつぎとご指示を浴びせる。「土日祝はぜったいに出勤してください。火曜日休みたいって? しょうがないね、でもシフトが埋まらなかったら出勤してね。困るんよ、急に休むヒトもいて。それに子どもが小さいからって夜出られないヒト多いし。ホニャララさんは体調悪いってよく休むし。ホゲホゲさんは土日休みたいって言うし。ああ、フガフガさんはもう辞めてもらうことにした。あんな勝手なヒトいらへんわ。だから10時から夜1時までひとり勤務になってこっちはタイヘンよ。あと、ウチは社会保険とかいっさいないからね。雇用保険もなしよ。(以下、略)」
ワシ、「はあ……、はあ……」ってうなづいておったけど、気がついたらなぜか日曜から出勤することになっとった。
さて、帰る道すがらクルマのなかでも、なんかヘンだなあって思ってた。けれども採用されたことにはホッとした。
とりあえずいまのパート先に電話して、エラいさんに「採用になりました。そちらを退職します」と伝える。
エラいさん「おめでとう。退職届は明日持って来てください」とたいそううれしそうな声やった。そりゃま、一日でも早く辞めてほしいだろからね。てか、こんだけ干してんのによう会社出てきよるなあとあきれとったやろう。
しかし、ウチに帰ってよくよく考えると、いやあ、やっぱりピヨピヨ商店、ヤバいんじゃない?
あの勢いだと、早番でだれか休むヒトがおったら、速攻電話で呼び出されそうや。そうなったとき、10時~25時なんて長時間勤務耐えられそうにない。しかも一人体制でしょ? トイレも行かれへんのちゃう? 休憩時間なんてぜんぜん言ってなかったし。
あらためてスゴい会社もあるもんやと感心した。まあ、いろんな会社あるわな。ワシも過去に月100時間以上サービス労働ってパートを経験したことある。
でもさ、いくらどこも相手してくれないっていうても、やっぱり「自分で選ばない」とね。べつに会社に限らないけど、だれとだって「対等」なわけで、お互いオノレの要望はちゃんと伝えないとね。
心理学の定番として、「ソレってワクワクしますか?」って問いがあるけど、はは、さすがにこげな会社にワクワクできへんわ。