父親がサラリーマンだったし、「働く」といえば「イヤイヤ会社へ行く」ものだとずっと思っている。さらに母方のじいちゃんが、もとはセールスマンだったのに、それを辞めて自営はじめて失敗、またやっては失敗とつねに借金まみれだったので、うちの家では「自営=諸悪の根源」みたいな価値観が蔓延していた。
さて、自営業のひとを間近に見たのは根本裕幸さんがはじめてだった。根本さんは、ご自身のお父さんも自営だった。そして、数万人ものひとたちにカウンセリングやセミナーをやってきて、「雇われ」の仕事と自営の違いにも精通していた。
で、私は根本さんの仕事関連セミナーはずいぶんと通ったので、雇われと自営のメリットデメリットをけっこう教えてもらった。
自営というと「自分が好きなこと」を仕事にできるイメージがあるけれど、まず起業してから食べていけるまでふつうのひとは数年かかる。あと、経理や事務もぜんぶ自分ひとりでやらないといけないので、意外と「やりたくないこと」にも手間暇かかる。それに、仕事のすべてを自分でコントロールしないといけない。
先日、私が大塚あやこさんの個人セッションを受けたとき、「伴奏のお仕事はどうですか? 向いていると思いますよ」と提案していただいたが、これがもう、さっぱりイメージできなくて苦渋している。
大塚あやこさんは、いちども就職したことがなく、ずーっと音楽の仕事(作曲、演奏、講師など)をしてこられて、数年まえからはカウンセリング、セミナー、コンサルティングの仕事も並行してやっておられる。
そういうプロフェッショナルのかたが「伴奏どうですか?」と言われるのだから、あうう、それはすなおにちゃんと考えてみるべきなのにね。
ちなみに、私は根本さんにはピアノの話はほとんどしていなくて、てか、当時はあまりにもピアノのことを抑圧しすぎていたから、ほんま顕在意識に上ってこなかったんよ。で、「やりたいことがわからへん、やりたい仕事が見つからへん」って騒いでいた。
根本さんはだね、「春子さん、文章書くの向いてるんじゃない?」って言ってたけど、いや、それはムリっす。ぜんぜんやりたくない。文書くの、キラい。ごめんね、読者のみなさん。
こないだ妹は「農業どう?」って言ってくれたけど、いや、手が痛いんでムリっす。
って、おまえなあ、あれもイヤ、これもイヤってどないせえっちゅーねんっ?! つまり、私はナマケモノなのである。ま、根本さんにはバレバレだったね。こいつ、働く気ゼロだなってわかってたと思う。まあ、もっと正確に言うと「自分勝手すぎて、他者貢献ができないヤツ」なのだ。
これはやっぱり図星で、いま現在「ビリーフリセット・リーダーズ講座」に通っているものの、カウンセリングなんてぜんぜんできるようにならない。トレーニングでカウンセラー役をやっても、「相手のひとに貢献したい」という気もちが湧いてこない。義務感でやってるだけ。
私には「思いやり」とか「献身」とか、要するに「愛」がないのだ。「愛」がないと商売なんてできない。
「愛」がなくてもゼニがもらえる手段は「パート」である。そりゃ、会社もほんとは「お客さんや商品や同僚を愛せるパート」がほしいだろうけど、たまたま人手不足という事情により、しかたなく私を雇ってくれている。
こんなナマケモノにちゃんとお金を与えてくれるシステムが存在するって、じつはものすごいことだなあと感心している。
私はもう、ありとあらゆることがめんどくさくて、自営(伴奏とか文章とか)はまるっきり算段つけられないのだ。なので、そんなこといっさいやらずに、決まった時刻に決まった場所へ行って、決まった時間だけじーっとおるだけでチャリーンとゼニが降ってくるシステムのありがたみにようやく気がついた。
結局、世間ってやさしいねえ。こんなに自分勝手でナマケモノの人間でも救済してくれるしくみを作ってくれているんだねえ。ありがとう。