自分の「やりたいこと」がいっそうハッキリと、そしていっそうアホになってきた

いまから半年ぐらい前だったかな。妹とラインだか電話だかで話していたとき、私は「パートがすっげえしんどくて、まあでもピアノがストレス解消になってるよ」などと言っていた。

そう言いながら自分で、はれ? じゃあ、もしかしてパートがしんどくなかったら、ピアノはもっとやる気出ないんかね?という思いがよぎった。

そのころはまだ、過去の山登りの記憶がどーんと不動の地位を占めていた。まあ、ぎょーさん登ってきたからね。延べ600山ぐらいと見積もってるけど、ちゃうかも。北海道百名山だけでも60山以上行ってるし、大阪の金剛山だけでも70回は登っとるし、知らんわ、アホみたいに登りすぎ。

なんだけど、10年ほど前かね、ピアノが妙に気になってきたのは。


「あんた、何者?」って訊かれてたら「へえ、山ヤどす」と即答できないような屈託が生じてきた。だから、いまから2年前にピアノのレッスンを再開することにした。

ピアノをちゃんと弾くのは44年ぶりだったけど、レッスンに行くことにはなんの迷いもなかった。電子ピアノしか持っていなかったが、再開して3ヵ月後、グランドピアノを欲しくなったので、当時所有していた持ちマンションを売って、音出し可の賃貸マンションに引っ越しした。

こんなのは、山ヤからしたらぜんぜんたいしたことおまへん。あいつら、モンブラン1山登るのに天候悪くて3回行って合計300万かかったとか、海外登山100回行って1億円とかやってる。

国内で日本三百名山やるにしても、1山3万はかかるでしょ。そしたら三百名山完登には単純に900万円いるけれど、アレつぶしてる連中と話してても、「いやあ、おカネがかかるね」みたいなハナシ、とっつも出てけえへんもんね。登りすぎて会社クビになったとか離婚したとかは聞いたことあるけど。


なので、山のメリットのひとつとして「タガがはずれる」ってのは大きかった。

目の前にいるおばちゃんが「1億使っちゃったわ」ってケロッとしてたりすると、そうか、私はその〇分の1しか使ってへんわ、まだまだあかん、もっと登るべと当たり前のように拍車がかかる。

そういえばいま思い出したけど、山の本出版してたひともいたなあ。自分の海外登山記録とかの本。読ませてもらったけど、やっぱし「タガはずれまくり」の話ばっかりだったような気がする。高山病で吐き下しながら登るんだよん。

そこらへんがスタンダードだったから、ピアノの1台2台とか、ちょろちょろ練習するとか、レッスン通うとか、山基準だと鼻で嗤われそうなサイズ感でしてな。


あと、山はほんと死んじゃうしね。だれがどこそこの山で、ああそう、あのひとは〇〇山だったねとか、ふつーにだれがどこの山でーってしょっちゅう言ってる。滑落事故で何針縫ったかその合計の数自慢し合ったりとか、あのひと凍傷で指何本ないよとか。

だから、ぜったい死なないしヘリも飛ばないピアノは、どうもしばらくパチッとハマらない感じがあった。

う~ん、そうだねえ、どんなふうに本気出せばいいのか?が自分で具体的につかめなかったかな。

そうそう、「ピアノで命懸け」ってのがどういうものか?がわからなかったんだ。なので、ピアノってせいぜいパートのストレス解消かね?などと思っていた。


で、いま書いていて急に気がついたけど、私って「命懸けゲーム」好きなんだねえw
それプラス、「身体を使う」ことが好き。

結局、身体張って命懸けゲームやりたいんかよ?
まあ、そうだな。

んで、たまたまその「身体の張りかた」ってのがわかってきたんだな、ツェルニーで。

おもしれーな、こーゆーのをやってると指が動くようになるんだなって。


そしたら、いつの間にかピアノは、ストレス解消どころじゃなくて、首までずっぽり浸かってハマッて抜け出せない状態になっとった。

なるほどねえ、私は「身体」でガタガタすんのが向いているんだね。

音楽との関わりかたってひとそれぞれだろうけど、たぶん私は「身体つこてなんぼ」がイケそうや。

よっしゃ、ピアノで踊るべ!
ピアノでタガはずすべ!

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