母からの手紙

今日母から手紙が来ていました。郵便受けをのぞいてその手紙を見たときは、あ、母ちゃんからの手紙だ~とうれしかったです。でも、何が書いてあるのかドキドキしました。母はもう83才です。父が亡くなってしまってひとり暮らし。やっぱり体調でもくずしたらどうしようという心配があります。

さっそく封を切って読みましたが、べつに健康そうな様子で安心しました。けれども、ひとりで寂しいらしく「悲しい、辛い」といった内容が綿々と書き連ねてありました。う~ん、相変わらずだなあ……

じつは、かつて母と私は長年「母子癒着」の関係でした。生い立ちが不幸だった母は、長女の私を完全に支配して自分の思い通りになることを望みました。まあ、私はもともとニブいところがあるので、母といっしょにいるとなぜこんなに窮屈なのか長い間理由がわかりませんでした。でも、母の機嫌を損ねることが怖くて、自分のやりたいことができずに不自由な思いをしていました。

数年前から、あるカウンセラーのひとのブログを読みはじめて、そこではじめて「母子癒着」なのだと知りました。そして、その癒着を解消するには母から離れたほうがいいとわかりました。そもそも実家を出たのは22年前なのですが、3年前に父が脳梗塞で倒れたのでまた戻ってなんやかんやしていたのです。母ももうトシですし、最後の親孝行をがんばるつもりでいたのですが、母の要求水準がものすごく高くてエラい目にあいました。

いまだからわかるのですが、幼いころに受けた心の傷って一生癒えないこともあるんですね。母は、生みの母に6才のときに捨てられてしまったんですが、結局その恨みつらみが激烈で年がら年中怒りをまき散らすようになってしまいました。私も以前は、なんでこのヒトは365日怒っているんだろうと不思議でしかたがなかったんですが、「実母に育てられた私」が「実母に捨てられた母の気もち」を理解するのは、やっぱりカンタンなことではありませんでした。

そしてようやく、母の問題は母自身が向き合って解決するしか方法がないと悟りました。母はそれがつらくてできなくて、私になんとかしてほしいと思っているんです。私も長年「私が母の『お母さん』になるように努力すべきだ」と思っていたのですが、そりゃあまちがいでした。お互い親離れ、子離れしてそろそろオトナにならないといけなかったんです。

こんな風に書くと、いかにも私が親離れしてすっくと母のもとをカッコよく立ち去ったかのように見えますが、いやいや実際は全然ちがっていて、母から「ああせい、こうせい、このバカ、アホンダラ、×○▽※!!!」といった罵詈雑言とともにいろいろなモノがしょっちゅう飛んでくるので、これはもう限界と一目散に逃げ出しただけでした。ふう。

逃げたのは去年の2月29日、ヘルパーさんが来ていたスキにサササッと脱獄しました。以来、母の電話は着信拒否にして、手紙が来ても返事を出していません。もともと母は行動力がないので、電話の履歴も2回だけ。手紙も今日で3回目です。

母がかわいそうかな?という気もちはほんの少しあります。でも、ここで私が助けたら、ふたりともまた依存して癒着してオトナになる機会を失ってしまいます。なによりもいったんシャバの空気を吸うとね、もうアソコには戻れねえなあ。

なんですか、少し前には母の義理の弟が来てくれたようです。奥さんもいっしょだったらしく「Y子さんも」と書いてありました。Y子さんねえ、いっつも母は「あのクソ女め!」ってよく怒鳴っていましたが、ホラ、ヒトっていろいろな面があるでしょう? コドモに頼ることしかアタマになかった母にはきっといい経験だったと思います。

母がいま住んでいるところは、すぐ近くに老人会があります。ケアマネージャーさん、ヘルパーさんも定期的に来てくれています。どうしてもコドモが行く必要があればそのときは行こうと思いますが、もうしばらくはお互い自立できるようにがんばったほうがいいでしょう。

母がこんなヘルプの手紙を寄こすということは、私がまだまだ自分の人生を楽しめていない証拠かもしれません。こういう問題はつながっていますからね。たぶん、私がホントウに私らしく心底楽しく過ごせるようになれば、きっと母の人生も変わるはずです。