たぶん昭和30年代生まれのひとって、残業代をもらわずに働くのが当たり前という感覚があるような気がする。私も昭和37年生まれだから、そういう価値観のほうが強い。高校卒業後に就職した会社では、最初に「残業代は給料に含まれているから出ません」と言われて、ああ、そうかとみんな納得していた。
で、ソコの会社では気が付いたら毎月150~200時間ほどサービス労働するのが常識になっていた。これは一般職の女性のハナシね。あ、一般職とか総合職とかがない時代に入社したんだけどね。そしたら、総合職の男性なんて想像もつかないほど働き倒していた。「去年は3日しかウチに帰らなかった」とか言ってるひともいた。
男性は、朝6時半から仕事をはじめて帰るのは23時だ。こんなのを何年も続けていると、やっぱり死んでしまう。私が知っているひとのうちでも、2人が亡くなって1人が脳出血を起こしている。ふつう、こんなに死なないよなあ。
でも、そんな環境に身を置いていると、月200時間のサービスなんて申し訳ないような恥ずかしいような気分になった。ヘンかな? うん、ヘンだね。その業界だけに通用する価値観なのにね。しかし若いころのそういう価値観はなかなか抜けない。
いまの会社の上司は、私より2才年上なので、やっぱりサービスで働いて当たり前という考えかただ。ここの業界は、これまたおもくそ働き倒す非常識な業界でなあ。私が昔勤めていた会社よりさらにもっとヒドい業界だ。たぶん、上司は若い時分に激烈に働いていたはずだ。
なので上司から見ると、いまの私の働きかたは、まあほどほどがんばっているのは認めてくれるけど、まだまだ甘いらしい。「やればもっとできるのに力の出し惜しみをしている」とよく言われる。いや、もうそろそろムリっすよ。これ以上乾いたゾウキン絞ってどーすんの?
先日も上司が「最近はね、〇〇〇(←漢字3文字)でも5時すぎたら残業代欲しいなんて言うそうで、ヒドい世の中になったもんだ」と嘆いていた。うんうん、24時間タダ働きが当たり前っつーのもわかることはわかる。それに、このかたはべつにタダでこき使うつもりはなくて、おそらくお金以外に得るモノがあるから、長時間働くことを推奨しているのだ。
ときおり「どう? おもしろいでしょ?」とうれしそうに尋ねるので、う……そ、それは図星だなあと感心してしまう。そうなんだよ、私も基本的におもしろいからついついやってるんだよね。ほんと、パソコン大好きでやめられん。
ただ、やっぱり仕事なので責任が付いて回る。その重圧がしんどいんだな。週に1日くらいは休みを取ってリラックスしてみたい。