「もっとひとを信用する」ということを深く学んだ

出勤日である今日、Aさんにお詫びするため、いつもより30分ほど早く会社へ行った。
仕事がはじまってからでは、Aさんも非常に忙しくなるので、それこそ迷惑だからである。

で、歩いているとちゅうでも緊張していた。私が大きなミスをしたため、Aさんはその日4時間も残業しなければならなかったのだ。
私はまだ、Aさんとほとんど話をしたこともなかったし、かなり気が重かった。

会社に着いて、休憩室のそうじを早めに終えてから、意を決してAさんの席に向かった。
もうすでに仕事をはじめていたAさんに、私は「Aさん、おはようございます。先日は、私のミスのためにご迷惑をおかけしてたいへん申し訳ございませんでした」と詫びた。

すると、Aさんは「え? なんのことですか?」と言って顔を上げた。
私はびっくり仰天したが、例の大問題の内容をしどろもどろに話してみたら、Aさんは「ああ、そのことですか。そりゃ、最初のうちはまちがうこともあるでしょ。いいですよ、これから気をつけたら」と言われて、ニコッとされた。

あまりにも意外なAさんの様子に、私はなんだか涙が出そうになった。
重ねてお詫びとお礼を言ってアタマを下げたけど、Aさんは注意することすらなく「かまいませんよ」と言ってくれる。

それ以上は仕事のジャマになるだろうし、私はちょっと用意しておいた安物のお菓子を渡そうとしたが、Aさんは真顔になって「いやいや、業務のことですからそれはほんとにけっこうです」と言われた。

なので、私は「はい、わかりました。これからじゅうぶん気をつけます」とていねいにお辞儀をして、Aさんの席を離れた。

そのまま自分の仕事をはじめるには、時間が早すぎた。
ここの会社では、サービス労働は厳禁にしてくれている。サービスしたらいけない会社なんて、生まれてはじめてで違和感があるなあ。

でも、おとなしく休憩室にもどってぼーっとしていたら、先輩のパートさんが出勤してきて「あら、ものすごく早く来たのね。どうしたの?」と言われた。
そのベテランさんは、私の席の隣のひとなので、「先週大きなミスをしたので、ちょっと早めに来てお詫びを言いに行ったんです」とかんたんに事情を話した。

すると、ベテランさんも「まあ、そんなわざわざ謝りに早く来なくていいわよ」と言ってくれる。
そしてつづけて「私の説明も、ていねいにできなくてごめんなさいね。バタバタしているとなかなかゆっくり言えなくてね」とまでおっしゃる。

いやいや、今回のミスはベテランさんとは1ミリも関係のないことで、それなのに謝ってもらうなんて、それこそお門違いで申し訳ない。

さて、仕事がはじまってからは、この大チョンボをご存じの別ベテランさんが、それとなくこれからどう気をつけたらいいか?を説明してくれた。
そのあとも、近くの席の同僚パートさんが、ほかの内容でもことさらていねいに教えてくれる。

な、なんか、みなさん、ものすごく私に気を使ってくれてへん?
う~ん、悩ましい。とまどう。複雑な思いが湧いてしまう。だって、私が悪かったのに。もっと怒られて当然なのに。

いやいやいや、みなさんの思いやりをありがたくすなおに受け取らせてもらおう。
そうだった。そういえば、心屋仁之助さんがこう言っていた。

「もっと ひとを信用してみません?
もっと ひとって優しいですよ」

本当にそのとおりだね。そう、みんなやさしい。
だから私は、「みんながやさしさを持っている」という事実を、もっと信用したらいいだけだね。

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