さようなら「森林の市」、こんにちは「罪悪感の町」

ぜんぜん実感が湧かないまま、引っ越し日を迎えてしまった。

まだ早朝覚醒がつづいているから、睡眠5時間ほどで目が覚めて、さすがに荷造りを開始する。
なんだけど、合計37箱で段ボールが尽きた。あと4箱は欲しいところだけど、知らん、もうほっとく。

引っ越し屋さんが来るのは11時ごろだから、それまでは粛々とピアノ練習。
ベートーベンソナタ1番1楽章、「テンポ速めてください」って言われたけど、非常にキビしい。弾けないトコって、これまでたぶん千回は部分練習してるけど、成功するのは10回に1回程度。ああ、ババアだから弾けへんのかなっつーて言い訳したくなるけど、いや、ひたすら練習するのみ。

ずっと練習してたら、引っ越し忘れてもうて、スマホに電話かかってきてやっと思い出す。
それからあとは、とにかく引っ越し作業。トラックへ荷物積み込みが完了したあと、ワシは自分のクルマで追っかける。

元のマンションの鍵をかけるとき、やっぱり寂しかった。
せっかく永住しようと思ってたのにねえ。たった6年でお別れだなんて。

そもそもこの市は、ずっと以前から憧れの市だった。
なぜなら、ワシが大好きな山がふたつもあり、なおかつ図書館が充実していた。

20年ほどまえから、あの市に住みたいなあとぼんやり思っていたから、格安中古マンション(99万円)が売りに出たとき、即決現金で購入した。
だのに、とうとうあのふたつの山の頂上を踏むこともなく、はあ、なぜか引っ越しだ。

登れなかった理由は、足腰が弱ってしまったため。ま、ぼちぼちトレーニングしたらそのうち行けるわっちゅーて、放ったらかしていたらこのザマだ。
やりたいことはなんでもサッサとやっとかないと、老いのためにぜんぶデキなくなってしまう。

だからこそ、いまグランドピアノを弾くために引っ越しするんだ。
でもなあ、こんどの賃貸マンション、場所がヤバいわ。
なんちゅーか、罪悪感で冷や汗出てくるわ。

だって、某芸術大学から徒歩10分の位置でございますのよ。
いくら志望校にしているからっつったって、早々とすぐ近所に引っ越すのは、さすがのワシでもすっげー居心地わりい。
いや、「楽器可」のマンション、ソコしか空きがなかったんだってば!

まあね、夢を叶えるには「もう叶ったとして行動するのが正しい」って、心理学セミナーでしょっちゅう言われてるけどね。
たとえば、結婚するのが夢のヒトだったら、婚姻届を役所でもらってきて、ちゃんと記入して、部屋の壁に貼っといたりするそうだ。

いやあ、でもぉ、自分があの大学行くなんて、考えただけでも罪悪感がシャワーのように降ってくるわっ!
なんとかしてくれっ! この罪悪感っ!

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